ラガルドECB総裁、6月利下げを示唆-インフレ目標達成が視界に
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は7日、6月利下げの可能性を示唆した。ECBの最新予測はインフレ率が2025年に目標の2%に低下することを見込んでいる。
ラガルド総裁は、4会合連続で中銀預金金利を4%に据え置いた後の会見で、インフレ鈍化は明らかだが、現時点では金利引き下げに踏み切る「十分な自信」はないと述べた。
総裁は今後発表される賃金の数字に触れ、「われわれにもっと証拠と詳細が必要なのは明らかだ。そのデータが今後数カ月で出てくることは分かっている。4月にはもう少し多くの、6月にはさらに多くのことが分かるだろう」と語った。
ユーロ圏のインフレ率は目標に近づいているが、当局者らは早過ぎる緩和を警戒し、賃金上昇が抑制されているという証拠を求めている。
ラガルド総裁は「賃金の伸びが緩やかになり始めている兆しがある」と発言、インフレは引き続き鈍化するとの見通しを示した。「加えて、利益が人件費上昇の一部を吸収しているため、インフレへの影響を緩和している」と述べた。
最新の四半期予測では、今年のインフレ率を2.3%と昨年12月時点の2.7%から下方修正。2025年についても下方修正し、目標の2%に低下すると予想した。26年の見通しは1.9%で据え置いた。
一方、今年の経済成長率の見通しは0.6%と従来予想の0.8%から引き下げた。
新たなインフレ見通しは6月に最初の利下げが実施されるという投資家の期待を強めそうだ。市場は現在、年内に1ポイントの利下げを織り込んでいる。0.25ポイントの利下げ4回に相当するが、エコノミストは年内の利下げを3回とみている。
インフレが持続的に後退していることに自信を深めつつも、勝利宣言には時期尚早で、利下げにゴーサインを出すにはさらなるデータでインフレ動向を確認したいとするラガルド氏の見解に、大半の委員は賛同している。
ラガルド氏は「今回の会合で利下げは議論しなかった」としつつ、「ECBの景気抑制的な姿勢の縮小について、議論を始めたところだ」と説明した。