とにかく暑かった!「6万人が緊急搬送」秋でも熱中症を油断できないワケ【医師が解説】
暦の上では立秋を迎え、朝晩はだいぶ涼しくなってきた。「今年の暑さもこれまでか」と思いがちだが、実はまだ油断はできない。8月下旬から9月にかけてもう一度、暑さが戻ってくることも予報されている。そこでもう少しだけ気を付けたい残暑の熱中症対策のポイントを専門家に聞いた。 【マンガ】「南海トラフ巨大地震」が起きたら…そのとき目にする「ヤバすぎる惨状」
4万人以上が熱中症で緊急搬送
全国各地で連日のように38度を超える酷暑が続いた今年の夏。立秋を迎えて気温もようやく下がり始めてきた。厳しい暑さが身体に堪え、熱中症になった人も少なくないだろう。 東京消防庁が8月20日に発表した7月の「熱中症による緊急搬送状況」によると、今年最も多い4万3195人だった。さらに8月1日から18日までの期間は2万3162人が緊急搬送されている。 救急車を呼ばなかった、受診しなかった人もいるため、それらの人を含めるとさらに多くの人が今年の夏、熱中症になったことが予想される。 予報によれば、この先しばらくは台風や天候不良などの影響で気温が低い日が続く。帝京大学医学部の三宅康史医師によると「そこが夏のダメージ回復のタイミング」だという。 「涼しくなってくると身体のストレスが減ります。そのため、これから先の季節は暑さがピークのころのように熱中症の心配は減ると思います」(三宅医師、以下「」も) しかし、例年だと8月下旬から9月上旬、もう一度急激に気温が高くなることがある。 気象庁は8月22日、28日から9月5日までの期間、この時期としては10年に1度程度しか起きないような著しい高温になる可能性があることを発表した。熱中症への警戒を呼び掛けている。
涼しくなってきたからこその注意点
「そのタイミングで熱中症になる人が増える危険があるので油断は禁物です」 涼しくなってきたとはいえ、油断はできないタイミングは残っている。夏の終わりの時期だからこそ、気を付けたいポイントがあるという。 「まず、急に作業量が増えたときです。引っ越しや家の片づけなど、荷物を運搬や肉体労働で体力を使う場合です。暑さのピークではないにしろ、普段よりも気温が高い日に疲労が溜まっている状態のときは熱中症になりやすい」 もう一つが猛威をふるう新型コロナウイルスなどの感染症にかかったとき。 「特にコロナに罹患すると、高熱やのどの痛み、おなかの具合が悪いなどの症状で十分に食事がとれない。食事量が減ると身体は衰弱し脱水が進行します。そうなれば当然、熱中症になる危険性はある。コロナに限らずですが、体調不良になるといつも以上に身体への負担は大きくなる。身体が健康な状態だからこそ、この暑さでも我慢して動けるんです」 東京都に住む60代の男性は昨年の秋口に熱中症になった経験を明かす。「油断していました」と話す男性は、過信して体調を過信していたことを今も悔やんでいる。 後編記事『獣のようなうめき声…「もう秋だからって過信していました」残暑の熱中症で倒れた60代男性の告白』ではさらに詳しく報じていく。
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)