『グレイトギフト』盛山晋太郎が“最初”の犯人に 反町隆史との共演で引き出された悪人ぶり
ドラマ『グレイトギフト』(テレビ朝日系)が2話目にして大きく動いた。 第1話からの焦点となるのは、藤巻(反町隆史)に「私の球菌を勝手に使いましたね 代償を払っていただきます」という脅迫とも取れる手紙を出した犯人は誰かということ。TVerのサムネイルに藤巻と犯人の場面写真がガッツリ使われていることもあり、早速その犯人に触れるが、手紙を出したのは、藤巻と同じ病理医の伊集院薫(盛山晋太郎)だった。 【写真】火種になっていきそうな郡司(津田健次郎)と不倫関係にある看護師長・鶴下(片山萌美) 伊集院は、藤巻が遺体から採取した「ギフト」を培養していることから、白鳥(佐々木蔵之介)と結託して理事長の奥野(坂東彌十郎)を殺したことに勘づき、金を目的に脅しの手紙を送った。ここでポイントなのは、元総理大臣の愛宕克己(山田明郷)を殺した真犯人は別にいるということである。 詳細は後述するが、伊集院は白鳥によって「ギフト」で殺害されてしまう。奥野に続き、新理事長としての権力を揺るがすような危険人物は容赦無く潰す。白鳥はもちろん、人を非人道的な悪魔に変える「ギフト」の恐ろしさをまざまざと見せつけたシーンだ。 つまり、坂東彌十郎に続いて、盛山晋太郎が第2話でリタイヤということになった。うだつの上がらない藤巻を見下していた伊集院は、白鳥の鶴の一声で教授となった藤巻に逆恨みして当然。地下駐車場で待ち伏せていた伊集院からの威圧的な態度は、ただのイキりではなく、覚悟を決めた悪。「人殺したんだろ? 今さら善人面すんなって」と耳元で藤巻を脅し、藤巻の首を掴む演技はハラハラとさせる。今作が連続ドラマ初レギュラーとなった盛山。憧れを公言している反町隆史との芝居だからこそ引き出された部分はあるのかもしれない。 「ギフト」を巡る人物相関図だが、早くも複雑化してきているので、ここで状況を整理したい。主治医として藤巻の妻・麻帆(明日海りお)の命を握り、奥野に続き、伊集院までをも「ギフト」で殺害した白鳥。その白鳥を殺人の容疑で疑っているのが、警部補の神林育人(尾上松也)だ。プリンをきっかけに藤巻と仲良くなった神林は、病院内で唯一の“友達”の藤巻に白鳥へのスパイを依頼する。白鳥は逆にそのことを利用して、神林から捜査状況を盗み取るように企む、つまりは藤巻が二重スパイとなっている状況が生まれている。伊集院から藤巻が脅迫された際も、その情報は白鳥に筒抜けだったわけだが、逆に白鳥がまだ把握していないであろう共闘関係が同じ病理部の検査技師・久留米穂希(波瑠)の存在だ。 死体の右頸部に残る黒いシミ、さらに藤巻が「ギフト」を培養していることから、奥野を殺した犯人を知っていると近づいてきた久留米。藤巻への絶大なる信頼と好奇心にも似た「研究職の性」という(少々怪しい)理由から、久留米は球菌の培養を手伝うこととなる。 「まるで育てた経験があるみたいですね」(藤巻) 「偶然の産物です」(久留米) という会話を鵜呑みにしていいのか戸惑うところだが、主人公の最も近くにいる人物が疑われるのはミステリーにおける宿命である。 また、殺された愛宕を訪ねていたリストに名前があった安曇杏梨(倉科カナ)。会員制ラウンジ「アルカナム」のオーナーとして政財界に顔が利く彼女が、愛人としての遺産を目的に愛宕を「ギフト」で殺したのではないかというのは、当然藤巻にも考えがつく。そのことを詮索しようとアルカナムを訪れた藤巻だったが、耳元で「毒は入っていないので安心してください」と囁く安曇の方が一枚上手。安曇を横につかせる藤巻に嫉妬心を剥き出しにする事務長の本坊(筒井道隆)との醜い争いもクスリと笑わせてくれる。 今後、火種になっていきそうなのは、郡司(津田健次郎)と不倫関係にある看護師長・鶴下(片山萌美)の存在。鶴下は、藤巻から「突発的な心不全患者が病院に出たら知らせてほしい」と頼まれていた看護師で、そのことを郡司は知ってしまう。教授としての地位を突如藤巻に横取りされ、白鳥から梯子を外されたと感じている郡司が、藤巻と白鳥にとっての脅威となっていくのだろうか。
渡辺彰浩