『おむすび』で朝ドラデビューの兒玉遥、女優転身のきっかけは「うつ病になって調子を崩して」
もうひと踏ん張りしようと思った
――お芝居に興味を持ったのはいつ頃からですか? 兒玉 アイドル時代からお芝居をやってみたかったんですが、アイドルと女優の両立は難しいなと肌で感じていて。アイドルは自分を押し出して、自分を良く見せる、自分のことを応援してもらうという職業じゃないですか。でもお芝居は役柄にもよりますが、まずは自分を消して、役に入らなきゃいけないという作業がアイドル時代は難しかったです。 ――お芝居の楽しさややりがいは早くから感じていたんですか。 兒玉 いただいたセリフを覚えて役を演じるという作業は楽しかったです。ただアイドルをやりながらのお芝居には自信が持てなくて……。だけどHKT48時代はアイドルとしての高みを目指していたので、そこまで女優でやっていこうという気持ちもなくて。そのままアイドルをやり切りたかったけど、うつ病になって調子を崩して、2017年から活動を休止することになってしまって。休養期間中に女優転身を決意したんです。それが2019年のことです。 ――なぜ女優を選んだのでしょうか。 兒玉 あまり良い表現ではないかもしれませんが、“消極的転身”というか。人前に立つことも、カメラの被写体でいるのも大好きだし、楽しいし、自分に向いているなという感覚はあったんですが、病気明けで、前のように上手く芸能活動できる自信がなかったんです。グループ卒業後に何の仕事ができるのかは分からなかったけど、自分のルーツを見詰め直したときに、やっぱり芸能界から退くのは違うかもしれない。 もうひと踏ん張り、自分のできるところまで頑張ってみようと思ったのが、今に繋がっているんです。だから最初から、「絶対に女優でやりたい!」というのはなくて、いろいろな活動をしていく中で、「楽しいし向いているかも」「もっと頑張ろう」と思えたのがお芝居だったんです。 ――失った自信を取り戻したのはいつぐらいですか? 兒玉 転身したタイミングでコロナになっちゃったので、最初は女優業も不完全燃焼でした。徐々にドラマや映画の撮影、舞台が再開されて、たくさんチャレンジさせていただく機会をいただけるようになったので、女優に転身して3年目ぐらいですね。 ――コロナ禍にモチベーションは落ちなかったんですか。 兒玉 お仕事自体は定期的にいただいていましたし、おそらく復帰したタイミングではバリバリやりきれなかったと思うので、自分的にはそのペースがちょうどよかったんです。結果的に周りも足を止めている状況で、ゆっくりと進んでいけたのが良かったと思います。 【後編】朝ドラデビューの兒玉遥「私自身、容姿に悩み過ぎた、そのときに経験したことを伝えられれば」は下の関連記事からご覧ください。
猪口 貴裕