中国の「クレーンの都」:輸出受注が急増、世界100か国以上に販売
【東方新報】1分間に平均3.2セットの起重パーツ組み立て、1時間に38台のクレーンが完成、国内市場シェア70パーセント、製品はフランス・パリの展覧会場「グラン・パレ(Grand Palais)」など海外プロジェクトでも使われている。これらの全てのデータは、人口100万人にも満たない中国の県クラスの小都市のものだ。 記者は「起重機械の都」と呼ばれる河南省(Henan)の東北部にある長垣市(Changyuan)を訪れ、その「昔と今」の発展を探った。 20世紀80年代、韓憲保(Han Xianbao)、崔培軍(Cui Peijun)など時代の変化を捉える能力に長けた長垣市の人物たちが、クレーン市場の発展の前途を洞察し、クレーンのメンテナンスと一般市場販売をスタートさせた。韓氏はその後クレーン・港湾設備メーカー「衛華集団(Weihua Group)」を創業し、崔氏は鉱山用等幅広い起重設備のメーカー「河南省鉱山起重機」を創業している。 長垣市の最新統計によると、市のガントリークレーン、オーバーヘッドクレーンの年間生産台数は30万ユニットを超え、パーツは170万セット、国内市場占有率70パーセント、製品は世界150以上の国と地域に輸出されている。 地元の「河南鉱山知能産業園」の生産現場に足を踏み入れると、作業員が産業用ロボットをボタンで操作し、大量生産されたパーツが、厳しいテストを通過して次々に運び出されていた。21ユニットのオーバーヘッドクレーンの海外向け注文が、急ぎ製造の最中で、最初の1ユニットはすでに負荷テストを終了していた。 「河南鉱山集団(Henan Kuangshan Group)」の岳相斌(Yue Xiangbin)副総裁によると、近年、オーバーヘッドクレーンとブリッジクレーンの完成品ユニットは、中央アジア、東アジア、アフリカなどの122か国で販売され、鉄鋼製錬、鉱山開発、鉄道工事、港湾物流など幅広い分野で使用されているという。特にパキスタンの余熱発電、コンゴの鉱山、バングラデシュの電力プロジェクト、セルビアの銅鉱山など 「一帯一路(Belt and Road)」経済圏構想の主要なプロジェクトで使われている。 今年上半期、同集団の売上額は60億元(約1327億円)を超え、前年同期比13.7パーセント増加となった。輸出受注が急成長し、総売上額の30パーセント近くを占めたと報告されている。岳氏は「国内市場は安定しつつあり、将来のチャンスは『一帯一路』のような海外市場にある」と見ている。 「衛華集団」は今年の年度方針を、デジタル化・知能化、国際化を企業発展の方向とした。記者は「長垣市衛華智知能産業園」で、ちょうど同園を視察しているカザフスタンから来たビジネスマンに出会った。彼らはクレーンの購入計画を持っており、衛華集団の企業文化、製品ラインなどを深く理解しようとしていた。 衛華集団の李国強(Li Guoqiang)董事長は、記者の取材に応じ「我々の生産現場には外国人の顔ぶれが多い。外国人の従業員を多く採用して、国際的な発展を加速させ、同時に、科学技術のイノベーションを通じて輸出製品の種類と応用シーンを広げようとしている。主力製品は航空宇宙、軍事産業、機械・冶金、港湾・鉄道、石油化学などの分野で幅広く使用されている。パリのグラン・パレ、サウジアラビア、『未来都市NEOM』などにも使われている」と説明した。 李氏の紹介によると、今年上半期、同集団の国内売上額は前年同期比約5パーセント増加にとどまったが、海外市場向け売上額は前年同期比240パーセントの大幅な増加となり、海外市場向けの成長率は通年で約400パーセントに達する見込みだという。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。