「日本と並ぶ長寿国」の不都合な真実…「野菜と果物生活」をやめたスペイン人が代わりにたっぷり食べているもの
■日本とアメリカを比較すると… 最新の調査を見ると、日本とアメリカでは、1日当たりに摂取する食物エネルギーの総量が驚くほど近いことがわかる。1日当たりの食物エネルギーの摂取量を2017年の日本人男女と比べると、15~16年には、アメリカ人男性はわずか11パーセント、アメリカ人女性に至っては4パーセント未満しか上回っていない。炭水化物の総摂取量は日本人が10パーセント弱、タンパク質はアメリカ人が14パーセント弱、それぞれ多く、若干の違いがあるものの、両国とも、タンパク質の摂取量は必要最低限を大きく超えている。 だが、脂肪の平均摂取量には大きな隔たりがあり、日本人と比較すると、アメリカの男性は約45パーセント、女性は30パーセント多い。そして、最大の違いが見られるのが糖類の摂取量で、アメリカの成人のほうが約70パーセント多い。これを年間の差に換算すると、アメリカ人は最近、日本の平均的な成人よりも毎年、脂肪を8キログラム、糖類を16キログラム多く摂取していることになる(※15)。 ■「ヨーロッパで最高の食生活」とは たいていの食材は多くの場所で入手可能だし、調理の手順やレシピはインターネットで簡単に調べられるので、あなたも早死にのリスクを最小化し、日本風の食事を食べ始めることができる。日本の伝統的な料理である和食であれ、外国の料理をアレンジしたもの(たとえば、ウィーン風カツレツをあらかじめスライスしておいて振る舞うトンカツや、どろっとしたカレーをご飯にかけたカレーライス)であれ、お好みで(※16)。だが、朝食に味噌汁、昼食にただの冷たいおにぎり、夕食にすき焼きを食べ始める前に、セカンドオピニオンに耳を傾けてみるのもいいだろう。ヨーロッパで最高の食生活と長寿のモデルはどのようなものなのか? 世界の長寿ランキングで第2位に入るのがスペインの女性で、この国は伝統的に、いわゆる「地中海式ダイエット」に従って、野菜と果物と全粒穀物をたっぷり摂取し、マメ類やナッツ、種子、オリーブオイルで補足していた。だが、スペインの平均所得が上がると、人々はこのような習慣を意外なほど変えた(※17)。 1950年代後半まで、フランコ体制下の貧しいスペインは、はなはだ質素な食事を続けていた。典型的な食事はデンプン(穀物とジャガイモの年間消費量は、1人当たり合計約250キログラムにもなった)と野菜がほとんどで、肉の供給量は1人当たり枝肉重量で20キログラム未満、実際の消費量は12キログラム足らず(3分の1はヒツジとヤギの肉)、オリーブオイルが主要な植物油(毎年約10リットル)であり、糖類の消費(1960年には16キログラム)だけが、他の食品と比べて相対的に多かった。