記録的大雪の青森県内 「雪下ろしは複数人で」専門家ら安全対策呼びかけ 転落事故相次ぐ
記録的な大雪により災害救助法の適用が決まった青森県内で、屋根の雪下ろし中に転落したとみられる事故が相次いでいる。県や防災の専門家は「作業は複数人で」「不慣れな人は上らないで」など、命を守るための対策をとるよう強く呼びかけている。 寒気が緩んだ6、7の両日。青森市内の住宅街では、市民や業者の人たちが雪片付けをする姿があちこちで見られた。中には命綱やヘルメットを着用せず、傾斜のある屋根に上って作業をする高齢男性の姿も。 同市富田で自宅敷地の雪を片付けていた会社員武井弘秋さん(52)は「高齢でも何も着けずに一人で屋根に上っている人がいる。(異変に気付きやすいように)日中の明るい時間帯にやるようにし、近所同士頻繁に声をかけ合うようにしている」と口にした。 県のまとめや東奥日報の取材によると、7日夕現在、今冬県内で起きた雪に関連する事故で死亡したのは5人で、うち4人は屋根の雪下ろし中だった可能性がある。除雪中に屋根から転落するなどしてけがをした人は少なくとも87人に上っている。 県や各市町村は、屋根の雪下ろし作業をする際の注意点として▽命綱やヘルメットの着用▽はしごをロープでしっかりと固定▽携帯電話を身につける▽疲れているときは無理をしない-などを挙げる。 防災科学技術研究所・雪氷防災研究センター(新潟県長岡市)の中村一樹センター長は、取材に対し「雪氷災害の死者のうち、7~8割程度が除雪や屋根雪の処理中に生じている。大雪が落ち着いたからと言って油断しないでほしい。命が一番大事。不慣れな人は屋根に上らないで」と語気を強めた。 命綱は青森市内のホームセンターで7千~2万円ほど、ヘルメットは2千~5千円ほどで販売されている。サンデー青森浜田店(青森市)の宍戸幸介さんは「値段は安くはないが、安全基準を満たしたものを使ってほしい」と話す。 県内では命綱やヘルメットを貸し出したり、高齢者や障害者世帯などを対象に、業者による屋根の雪下ろし費用の一部を助成したりする自治体もある。条件がそろえば、社会福祉協議会などを通じて雪下ろしのボランティアを依頼することもできる。 県防災危機管理課の屋崎雪絵・危機管理対策グループマネージャーは「統計上、一人で雪下ろしをしていた人が大事故になるケースが多い。早く見つかればその分助かる可能性は高くなる。雪下ろしをする際は家族や近所の人に声がけをしてほしい」と複数人での作業の大切さを訴えている。