衝撃のラストに困惑、そして納得 賛否両論の続編「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」 シネマプレビュー 新作映画評
公開中の作品から、映画担当の記者がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。 【写真】映画「ジョイランド わたしの願い」より ■「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」 なんだこれは？ これが、小欄の第一印象だ。社会現象と化した「ジョーカー」（2019年）の続編。再びトッド・フィリップス監督がメガホンを取り、ホアキン・フェニックスがジョーカーことアーサー・フレックを演じた。今年最大の話題作だろう。 だが、フィリップス監督は、大方の期待と予想を裏切った。逮捕されたフレックは精神科病院に収容され、リーという女性と出会い、孤独以外の感情を知る。リーを演じるのは歌手のレディー・ガガ。俳優の実績もあるが、それ以上に歌手として彼女が必要だったに違いない。この映画はフレックとリーが、古き良き時代の米スタンダードナンバーを歌い継ぐミュージカル仕立てになっているからだ。なんだこれは？ しかも衝撃的なラストシーンだ。あの「ジョーカー」の続編が、これでいいのか？ だが、気がついた。フィリップス監督は2作を通じて何がジョーカーを生み、誰が狂気を安易に広めたのかと観客に問うているのに違いない。今作は、異色ゆえにその答えを明確に提示する。あの「ジョーカー」の決着は、これしかないのだ。 全国公開中。2時間18分。（健） ■「ジョイランド わたしの願い」 因習に縛られた社会にあえぐ人々を、サーイム・サーディク監督が描く。カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門審査員賞とクィア・パルム賞を受賞した。 パキスタン。無職のハイダル（アリ・ジュネージョー）はトランスジェンダーのビバ（アリーナ・ハーン）に心をひかれ、彼女と踊るダンサーとなる。ハイダルの妻、ムムターズ（ラスティ・ファルーク）は仕事に生きがいを感じていたが、厳格な義父に主婦となることを強要される。 伝統的な社会で自分らしさを求め、行き場を失う人々の姿が胸に迫る。顔を寄せるハイダルとビバを染める人工的な光、夜の路地裏の陰影といった映像も魅力的だ。パキスタン映画。
