日本ボクシング連盟トップが東京五輪「1年延期がベスト」…代表選手も「フェアな状態でやれるのがベスト」
ボクシングの東京五輪の日本代表選手(開催枠の男子3人&予選突破の男女3人)が20日、日本ボクシング連盟から発表されたが、内田貞信会長が「個人的意見」と前置きした上で「世界で予選が行われないのなら平等性に欠く。その場合は大会を1年延期した方がベスト」と衝撃発言をした。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で海外のアスリートや各国のオリンピック委員会から延期を望む声が強くなっているが、ついに国内の競技統括団体のトップからも延期の声が上がった。内田会長は、1年延期された場合にも、今回、選出した6人の代表メンバーで五輪に臨む考えを明らかにし、代表選手からは「延期が2年なら嫌だが1年ならいつでも頑張れる準備したい」と覚悟の声も出た。
すべての選手が平等に力を発揮できるように
東京五輪代表に選ばれた男女6人のボクサーにとって晴れの舞台のはずが、話題は新型コロナウイルスの影響、開催が危ぶまれている五輪問題に傾いた。 今回、代表から漏れることになったフェザー級の注目ボクサー、堤駿斗(東洋大)や、村田諒太の系譜、南京都(現・京都廣学館)ボクシング部出身の女子ライト級の濱本紗也(日大)ら、まだ世界最終予選で五輪出場のラストチャンスにかけるボクサーがいるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、5月12日からパリで始まる予定だった、その世界最終予選は白紙。欧州予選は中断となり、アメリカ大陸予選も白紙となった。 IOC(国際オリンピック委員会)は17日に行った各国際競技団体との電話会談で、予選が実行されない場合、ランキングなど過去の実績にもとづく選出方法を提案したが、内田会長は、それに難色を示した。 「世界最終予選が中止になっているが、選手は何年もそこを目指して頑張っている。最後のチャンスを選手から取り上げることはなくしてもらいたい。IOCは、選手ファーストを第一に掲げている。ならば、すべての選手が平等に五輪で力を発揮できるようにしていただきたい。(予選ができない代替案として)IOCから世界ランキングをもとに(選出するという話が)出ているが、ボクシングの世界ランキングは2018年のものしかない。2年前のもの。現在、引退している選手や階級の違う選手もいる。選手ファーストをIOCが一番にあげているのなら、それ(そんなランキングからの選出)はありえない。欧州予選、アメリカ大陸予選が中止、世界最終予選も中止となったが、それ以外の五輪選考方法はない」 内田会長が指摘するようにボクシングの世界ランキングはAIBA(国際ボクシング協会)が出しているが、最終更新は2018年9月で止まったまま。しかも、IOCは、AIBAのガバナンスを問題視して、ボクシングを五輪競技から除外することを検討したほど信頼をしていない団体のランキングである。各国の五輪代表を予選を行わずにランキングを利用して決定することはナンセンス。平等性に欠くのだ。 内田会長は「あくまでも個人的な意見」と前置きした上で、こう発言した。 「世界中の選手がより平等に選ばれるように(東京五輪の)開催時期をずらしてでも選手にとっていい環境で開催していただきたいと思っている。もし平等に選手が力を発揮できないなら(延期は)1年後くらいがベストではないか。しっかりと予選をやって、そこから、ある程度(休養)期間を置いて選手がベストの状態でできるほうが五輪の価値が上がると思っている」 条件付きながら「1年延期がベスト」と国内の競技団体のトップが初めて言及した。これがアスリートサイドの切実な声なのだろう。