ブロック塀を国産木材の塀に転換 小池知事「まず都立高で」
東京都の小池百合子知事は20日の定例会見で、都立高校3校と都有の2施設で、法令に適合しないブロック塀に代えて、多摩産材を含む国産木材を使った塀を導入すると発表した。安全対策と国産材の需要拡大も視野に入れる。小池知事は「これまで木材をもっと使いましょう、と言っても、ずっと進まなかった。今回の取り組みが、木材の活用を考えるきっかけになると思う」と期待した。
国産材の需要喚起も狙う
小池知事は6日の定例会見で「ブロック塀の代わりに日本の木材を使うのも1つの方法ではないか」と述べ、庁内で検討を進めてきた。 木材の塀を設置するのは、国立高校、井草高校、東大和高校の3都立高と、駒沢オリンピック公園総合運動場内の弓道場、墨田五丁目運動公園の2施設。これらの高校と施設では、6月の大阪北部地震を受けて都が実施したブロック塀調査の結果、建築基準法施行令に適合していない、あるいは老朽化したブロック塀が見つかっていた。 3校では、ブロック塀のうち、外部からの目隠しが必要なプールの周囲の塀を木製に代える。プールの授業が始まる来年6月までに設置する予定。都有2施設については、まだ設置時期は決まっていない。 小池知事はこの日の会見で、都立高や都有施設で先行導入する理由について、「国産木材を使った塀は、ネット、フェンスなどより目隠し機能に優れて、周辺環境とも調和しやすいという点があるが、一方で設置費用や耐久性など考慮もする必要がある」と指摘。「まずは都立学校と都有の施設で試し、効果などを検証をしていきたい」と述べた。 国内では戦後に植林された人工林が伐採期を迎えていることから、「このまま放置すると森林が荒廃する」と危機感を示し、「適齢期の木を有効活用して森林を再生しながら、国内に限らず輸出の拡大にもつながる好循環を生み出していく。そのために国産材の幅広い活用を検討し、需要の喚起につなげたい」と語った。 合わせて、多摩産材を含む国産材の有効活用を検討するためのプロジェクトチームを庁内に設置する方針も示した。政策企画局や教育庁、財務局、都市整備局、産業労働局など関係局で構成し、検討結果は予算に反映させる。庁内の調整がつき次第、設置する。 (取材・文:具志堅浩二)