『Let It Go』が『ありのままで』と訳された理由
大ヒットを記録している『アナと雪の女王』。ゴールデンウィークには、主題歌の『Let It Go』を観客全員で歌う企画「みんなで歌おう♪歌詞付版」(全国約90館)も上映され、大好評だ。アカデミー賞歌曲賞を受賞し、映画自体も異例の大ヒットとなった今、街中、さまざまなところで耳にする主題歌『Let It Go』。実は、全世界でオリジナルの英語を含む42の言語に翻訳されて、収録されている。 この吹き替えの監修を行っているのが、ディズニー・キャラクター・ヴォイス・インターナショナル(DCVI)だ。DCVIは1991年に設立され、これまでにも『美女と野獣』、『アラジン』、『ライオン・キング』といった人気映画のローカリゼーションをサポートしている。世界中の17カ国にオフィスを持ち、55か国語もの吹き替えを行っており、今回の『Let It Go』の大ヒットの影の立役者とも言える。 『Let It Go』のような歌曲の翻訳は、それ自体が芸術形態であり、韻を踏んだ構成や音節数、さらには英語版キャラクターの口の形まで反映させる必要性をしっかりと踏まえた上で、創造性豊かなものとして受け入れられる歌詞になっているのだという。例えば、『Let It Go』のサビの部分、『レリゴー、レリゴー』の口の動きが、日本語の「ありの~ままの~」の口の動きと似ていることなども、考慮された歌詞となっている。 言葉を正確に翻訳するのであれば、『ありのままで』は、『Let It Go』より『Let It Be』のほうがその言葉の意味に近いものかもしれないが、音節や口の動きなども考慮し、もっともイメージにあう表現が『ありのままで』だった、ということになる。 英語版は、トニー賞受賞者イディナ・メンゼルが務めただけあり、パワフルで成熟度とコントロールに比肩できるシンガーが求められていたという。国によっては、セリフと歌、別々のタレントを起用している場合があるが、日本は、松たか子がセリフ、歌手の両方を担当している。