【2026年に1000社以上がTOPIXから除外へ】構成銘柄の見直しで新規採用企業は株価上昇期待、「ボーダーライン企業」は株価対策注力で市場全体に好影響も
日本株指数の代表として挙げられる日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)。TOPIXの構成銘柄には今後、大きな見直しが行われる予定だ。その内容や株価への影響とは。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第111回は、「TOPIXの見直し」について。 個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん
* * * 日本株指数の代表として挙げられる日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)。じつは、TOPIXの構成銘柄については大きな見直しが行われる予定です。その内容と、株価への影響を解説します。
2200銘柄で構成される現行のTOPIXは?
TOPIX(トピックス)とは、「Tokyo Stock Price Index」の略で、2022年の市場再編前の東証一部上場全銘柄を対象に、その時価総額に基づいて算出される指数です。時価総額というのは、各企業の株価に発行済み株式数を掛けたもので、その合計をもとにして指数が動きます。 日経平均株価が225銘柄に絞って算出されるのに対し、TOPIXは、約2200銘柄と多く、市場全体をカバーしているので、日本株全体の実態をより表していると考えられます。
TOPIX、見直しの背景は?
東京証券取引所は、2022年4月に市場区分を見直し、それまでの「東証一部」「東証二部」「JASDAQ」などを再編して、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに区分けしました。この再編に伴い、TOPIXも新たな市場区分に対応した形で見直す必要が生じました。 特に、プライム市場の企業に対しては、厳格な上場基準(流動性やガバナンス基準など)が設定されていますが、現状では、東証一部に上場した企業は、基準から外れていてもプライム市場に移行し、そのままTOPIX銘柄に採用されています。そのため、必ずしも投資家にとって魅力的でない企業も指数に含まれています。 また、現行のTOPIXには、流動性の低い銘柄も含まれています。流動性が低いと、投資家がその株式を売買しにくく、取引が成立しにくいという問題があります。TOPIXの見直しでは、流動性の低い銘柄を除外し、より市場全体の健全性を反映する指数にする狙いもあります。これにより、指数に連動するファンドや年金などの大口投資家も、よりスムーズに取引できる環境を整えようとしています。