浸水被害から1年 取手・双葉 防災に全力 住民訓練、メルマガ登録 茨城
昨年6月の台風や前線の影響に伴う大雨で約560棟が浸水被害に遭った茨城県取手市双葉地区で31日、住民向け防災講座が開かれた。大規模な内水氾濫から間もなく1年。住民たちは被災当時の状況を振り返ったり、スマートフォンで災害情報を受信できるよう市のメールマガジンに登録したりして、防災対応の重要性を改めて学んだ。 同市の浸水被害は昨年6月2~3日、台風2号や梅雨前線の影響による大雨で発生。双葉地区は約1100世帯のうち、床上浸水324棟、床下浸水240棟に上った。 同地区は周囲を牛久沼や水田に囲まれた住宅街。当時は2機ある排水ポンプの能力を超える水が集まり、マンホールなどから水があふれる内水氾濫が発生した。 この日の講座は市職員が講師を務め、住民約70人が参加。当時の浸水状況を上空から撮影した動画を示しながら、被災後に市が取り組んだ対策を紹介した。 市によると、双葉地区に沿って流れる南北二つの農業用水路のうち、北側の水路壁を470メートル区間にわたってかさ上げ。南側水路のかさ上げも本年度以降に実施する予定という。 昨年の大雨では住民に避難指示が出されず、防災行政無線も流れなかった双葉地区。高齢者らの移動も消防が担った。市はその後、避難指示が出せるよう基準を改定した。 災害発生時にいち早く防災情報が取得できるようスマホ講座も開催。取得の仕方が分からない参加者には、市職員が設定を手伝い、市のメールマガジンに登録してもらった。 双葉地区自主防災会の小橋正男会長(78)は「これまで地震への備えを意識していたが、今は水害対応に注力している」と語った。床下浸水に備えるため、防災会の簡易ポンプも増設し、4月には住民参加の訓練も実施したという。 同自治会の中尾早苗会長(66)は「災害時には近所付き合いが大事。住民同士で声かけを絶やさず、災害に強いまちをつくりたい」と話した。
茨城新聞社