向き合う「マンモスとナウマン象」の意味 北海道博物館
【北海道・札幌】4月18日にリニューアルオープンした北海道博物館(札幌市厚別区)。約3000点もの資料が展示されているこの博物館は、1971年に北海道の開道100年を記念して開設された北海道開拓記念館と、アイヌ民族文化の調査・研究を行っていた道立アイヌ民族文化研究センターが統合された、より総合的に北海道の歴史への理解を深めるための北海道で唯一の総合博物館です。 【動画】開拓、アイヌの歴史に生活や自然も 北海道博物館が開館 オープンから1週間で6000人を超える来場者数は、関係者が想像していた数よりも倍近いペースとなっていることからも、その注目度の高さがうかがえます。筆者もオープニングセレモニーに立ち会いましたが、開館前に並んでいた500人近いお客さんが一気に博物館に入っていく様子は壮観でした。
地学上“あり得ない”とされてきた
オープン当日の様子は、新聞やテレビなどいろいろなメディアで取り上げられました。その中でも印象的だったのは、巨大な二頭の象の化石(レプリカ)ではないでしょうか。実はこの二頭の象には深い意味が込められています。 今回の北海道博物館のオープンにあたり、展示内容の統括を行ったのが、同博物館の学芸主幹・堀繁久さんです。堀さんは、この二頭の象について「かつての地学ではあり得なかったことを、表現してみました」と語りました。 「北海道博物館の総合展示は5つのテーマ(『北海道120万年物語』『アイヌ文化の世界』『北海道らしさの秘密』『わたしたちの時代へ』『生き物たちの北海道』)に分かれていますが、この総合展示は「北東アジアの中の北海道」と「自然と人との関わり」をコンセプトにしています。 このコンセプトに沿って北海道という場所を考えると、本州からは寒い地域と思われる北海道も、ロシアにとっては暖かい地域という考え方もできるわけです。ということは、北東アジアという地域における北海道は、いろいろな見方ができる特殊な地域だということが分かってきます。 そして最近では、地学上あり得ないとされてきた、マンモス象とナウマン象の化石が、同じ地層から発見されました。この2種類の象の化石は北海道でも見つかっていることから『北海道でこの2頭の象が同じ時期に存在していた可能性がある』という意味を込めて、プロローグという位置づけで、北東アジアを描いた地図の上で二頭の象の化石が向き合うような配置にしました」