京都国際センバツ辞退 悔しさ引きずるな 夏はすぐ-強豪に勝てる自信を OBが励ます /京都
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)への出場を辞退した京都国際には、甲子園初出場・初勝利を果たした2021年センバツ、4強入りで全国に実力を証明した同年夏の主力メンバーが多く残る。両大会でチームを率いたのが、山口吟太(ぎんた)前主将(18)と加藤蒼(あおし)前副主将(18)だ。「この悔しさを引きずって負ける方が悔しいぞ」「次は強豪を倒すぐらいの自信を」。誰よりも選手たちを知っているからこそ、奮い立たせようと尻をたたく。 山口さんがニュースで母校の出場辞退を知ったのは17日。すぐに辻井心(じん)主将にSNS(ネット交流サービス)で「大丈夫か」と呼び掛けた。「大丈夫です。すみません」。辻井主将からは謝罪の言葉が返ってきた。山口さんらの引退時に「先輩たちを超える」と宣言し、仲間たちと汗を流す姿を知っているだけに、何と返せばいいか分からなかった。「特に辻井は、1年から試合に出続けてきた。ずっとプレッシャーを感じてきたのかな」と現主将の重責をおもんぱかる。 加藤さんも17日、出場辞退を家族から知らされた。「夏がんばれよ」と後輩らにメッセージは送ったが「落ち込んでいないわけがない」と思っていた。 加藤さんは21年のセンバツで、仲間がグラウンドでプレーするのをベンチから見ていた。その経験があったからこそ「夏こそは」と頑張れたという。後輩たちが春を経験できないのが心配だが、春が終わればすぐに夏が来てしまう。「春季府大会も近畿大会も、じきに始まる。大阪桐蔭や天理など強豪が集う大会で優勝するぐらいの勢いで、自信をつけてほしい」 「次につなげてほしい」と願う気持ちは山口さんも一緒だ。練習再開の初日、どれだけのモチベーションで臨めるかが大事だと考えている。「今は落ち込んでいてもいい。主力以外のメンバーも含め、意見をもっとぶつけ合うチームになるべく再スタートを切ってほしい。『まだ夏がある』とは言いたくないが、この悔しさを引きずって最後に負ける方が悔しいぞ」。チームをけん引し、後輩らの努力を誰よりも近くで見てきた先輩たちからのメッセージだ。【中島怜子】 ……………………………………………………………………………………………………… ◇「大丈夫。期待しているぞ!」 ◆山口吟太さんからのメッセージ 後輩のみんなへ 今は多分、何をしたってやる気が出ないかもしれません。確かに本当なら出場辞退なんて普通は無いものです。でも、今はコロナ禍で当たり前じゃないことが多々あります。 冬季練習、全員できつい練習を、歯を食いしばってみんながどれだけ頑張ってきたかを出せる最初の試合が、こんな終わり方になって僕たちも言葉にできないほどショックでした。でも、僕たちより悔しいのは選手自身だと思います。簡単に前を向くことはできないかもしれんけど、それでも僕たちや家族、野球ファンの方々は君たちの野球を見たいし、もう一度、甲子園で笑ってる姿を見たいと思っています! 簡単に立ち直れとは言いません。でも、立ち直ってもっともっと強くなって僕たちを驚かせてください。甲子園を沸かせてください。一番、お前たちに期待してるのは僕たちです! 言い切れます。一番身近で見てきたからこそ、お前たちの頑張りも全て見てきたつもりです。大丈夫。お前たちならできる。期待しているぞ! 〔京都版〕