『おっさんずラブ』春田と牧の愛情表現の違い 田中圭と林遣都の表情に滲む幸せ
春田(田中圭)からもらった愛情を何倍にもして返す牧(林遣都)
一方の牧の愛情表現は少しわかりにくい。それが春田に対してではなく、「周りへの牽制」という形で露わになっているからだ。春田と牧の家には元部長の黒澤(吉田鋼太郎)が家政夫としてやってきているが、牧は黒澤の小言を聞き流すことができず、壮大な「叩いてかぶってじゃんけんぽん」合戦へと発展してしまっていた(流石にフライパンで叩かれるのは痛かったと思う)。それは「春田のことをどれくらい大切にしているか」という戦いには「絶対に負けたくない」「俺が一番だ」と牧が常に思っているということの表れだろう。だからこそ、春田と牧の関係を第三者の立場で見守ってきた武川(眞島秀和)には「俺の一番は春田さんですから」とさらっと言えてしまうのだ。春田本人には滅多に言わないのに。 それに牧は、与えてもらった愛情を大事に心の中にしまって、育てて大きくして、何倍にもして返すタイプのように思う。春田は、自分の母に「結婚式はするの?」と聞かれ、「今のところはしない」と答えた。でも2人で話した時は、春田は結婚式を挙げたい派で牧はそれに反対していた。春田が牧の意見を尊重してくれたのだ。小さいことかもしれないが、この行動は牧にとってはとても嬉しかったことで、春田からの愛を感じたようだ。結局、この愛に応えるように、牧は春田と結婚式を挙げることに決めるが、準備しなければならないことはたくさんある。「なんでもいいよ」とはいかにも春田が言ってしまいそうなセリフだが、2人には素敵な結婚式を挙げてほしいものだ。 ここまでこう言っておいてなんなのだが、細かい言葉や行動なんて、2人でいる時の自然な表情には勝てない。家でわたあめしながら自撮りされたツーショットの春田と牧の顔は、まさに“幸せそう”という言葉がぴったりのものだった。これからも2人には苦難が待ち受けているだろうが、どうか力を合わせて乗り越えていってほしい。
久保田ひかる