山形屋の北海道物産展を楽しみにしているのは県民だけじゃなかった…ゴルフ、観光、そして飲み会 出店者も鹿児島満喫中
60回目を迎えた山形屋(鹿児島市)の「北海道の物産と観光展」では、例年約130人の出店関係者が鹿児島を訪れる。期間中、出店者はどのように過ごしているのか。探ってみると、鹿児島を楽しみながら鹿児島のファンとなり、数字では計れない経済効果に貢献する存在だった。 【写真】鹿児島を満喫する出店者ら=20日夜、鹿児島市の居酒屋017よか晩
山形屋から徒歩3分に立地するホテル&レジデンス南洲館では、客室約7割の45室を物産展関係者が占める。橋本龍次郎取締役(60)は「毎年常連の皆さんで確実に予約が埋まるのはありがたい。ビジネス客や観光客が戻りきらない新型コロナウイルス禍では特に助けられた」と歓迎する。 北海道との気候差を考慮し、館内のエアコンの設定温度は2~3度低くする。白くまアイスや朝食の黒豚しゃぶしゃぶといった鹿児島らしいおもてなしも好評で、生ふりかけ販売の「木の屋」の吉野康司さん(61)は「どこよりも疲れが取れて癒やされる。私の定宿」と信頼を寄せる。 吉野さんは出店歴28年目。物産展開催1週間前には鹿児島入りし「北海道から友達を呼んでゴルフをするのが定番です」。今年も県内各地のゴルフ場を巡る予定で、店舗入れ替えで休みとなった19日は出店者同士でコンペを楽しんだ。 約20年通う食肉加工販売「春雪さぶーる」の渡辺哲治さん(54)は国分山形屋や川内山形屋にも出店するため、1年の約3分の1を鹿児島で過ごす。常連客も多く「お帰り」の言葉が期間中の疲れを忘れさせる。
休日の楽しみはレンタカーでのドライブで、湧水町の丸池湧水や曽於市の溝ノ口洞穴といったスポットを回る。鹿児島が大のお気に入りといい「優しい県民性と豊かな自然が大好き。『北海道だけでなく、鹿児島も観光して』とあちこちでPRする」と明かす。 鹿児島市の「居酒屋017よか晩」では、店主の森玲奈さん(40)が昔、山形屋従業員として同展を担当していた縁で多くの出店者が集う。会期中は北海道展で仕入れた食材も並び、出店者が居合わせるとたまに実演もある。「お店も物産展も宣伝になる。相乗効果です」と笑った。 九州経済研究所(KER、同市)の福留一郎経済調査部長(58)は「食材に精通する舌の肥えた人々が見た鹿児島の魅力を広域的に発信する効果は、消費額以上に大きいだろう」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島
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