アメリカン・コメディ界のトップがアニメ映画で共演『怪盗グルーのミニオン超変身』
2010年の『怪盗グルーの月泥棒』からスタートした「怪盗グルー」シリーズ第4作となる最新作『怪盗グルーのミニオン超変身』が現在公開中だ。 【写真】『怪盗グルーのミニオン超変身』場面写真 「ミニオン」シリーズ、さらには短編やテレビスペシャルなどもあるため、何が何のシリーズなのかが、わからなくなってしまう部分もあるだろう。映画版においては、グルーが大人のシリーズが「怪盗グルー」で、子ども時代のシリーズが「ミニオン」と区別すると、わかりやすい。 日本でもミニオンの存在は幅広い世代に認知されており、2010年代以降に登場したキャラクターとしてはかなりの功績を残した。 日本語吹替版ではグルーの声優に笑福亭鶴瓶を起用し、関西弁MAXなグルーとなっていることもあって、日本独自の、良い意味で”異質感”を加えることに成功している。 グルーが子ども時代の物語であっても、笑福亭鶴瓶は続投しており、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションでも関西弁。グルーは、すっかり関西弁のキャラクターというイメージだ。 しかし、「怪盗グルー」「ミニオンズ」シリーズを深く知るうえで、改めて注目してもらいたいのは、オリジナル版の声優はスティーヴ・カレルだということ。 カレルといえば、『俺たちニュースキャスター』(2004)や『40歳の童貞男』(2005)などで知られるコメディアンでありながら、『フォックスキャッチャー』(2014)では、アカデミー賞にノミネートされた。さらに「さらば冬のかもめ」の続編小説を映画化した『30年後の同窓会』(2017)では、戦争で息子を亡くした父親を演じるなど、コメディ映画とは真逆の繊細な演技も高く評価される俳優である。 そんなカレルのクセが強く反映されたグルーの人格は、コメディの部分と繊細な部分、つまりカレルの丁度、中間的な存在。そのため、日本語版とは違った楽しみ方を提示してくれるはずだ。 さらに言えば今作に登場するグルーのライバル、マキシムにはカレルと同じコメディ集団「フラト・パック」のウィル・フェレル、脚本に『スクール・オブ・ロック』(2003)の脚本家であり、ジャック・ブラックの親友でもあるマイク・ホワイトが参加していることから、アメリカン・コメディ色は今まで以上に強くなっているのだ。