学会婦人部の「アイドル」公明・山口代表の苦悩 “下駄の雪”脱却と「自公選挙協力不可欠」の矛盾
■「八方美人」の山口氏が裏金事件で苦言 もちろん山口氏は、政界入り直後から「将来のリーダー候補」とみられていたが、創価学会の中枢だったことはなく、「人当たりの良さだけで代表になった」(学会幹部)と揶揄されてきたのも事実だ。このため、党内外で「敵はいないが、味方も少ない」との評も付きまとう。その一方でこうした「八方美人にもみえる山口氏の政治的対応が、基本政策が大きく異なる自民との協力維持の源泉」(自民長老)となってきたのも否定できない。
ただ、ここにきてその山口氏でも、様々な問題での自民党の対応に苦言を呈する場面が相次ぐ。その典型が、安倍派などの巨額裏金事件での自民の迷走への苛立ちだ。3月18日の下村博文元文科層の衆院政治倫理審査会への出席で、衆参政倫審での関係者弁明が一区切りとなったことを受け、山口氏は19日の記者会見で「信頼回復につながることを期待していたが、ますます不信を強める結果になっている」と非難した。 そのうえで山口氏は、今後の焦点となる安倍派元幹部ら関係議員に対する自民党内の処分に言及し、「政治責任はあるという認識のもとで処分するわけだから、国民の納得感が得られるように臨んでもらいたい」と厳しい処分を求めた。
また、これに先だつ17日の自民党大会でも、連立与党の党首としてあいさつした山口氏は「連立政権は2012年に政権奪還して以来、最大の試練に直面している。連立合意には、国民の声を聞き、謙虚な姿勢で真摯に政権運営に努めると書かれている」と指摘したうえで「その言葉が今ほど胸に響く時はない」と自民党の猛省を促し、そそくさと退席した。 ■「武器輸出」問題では“腰砕け”に その一方で、政倫審騒ぎと同時進行となった「武器輸出問題」では、自民、公明両党が19日、それぞれ開いた党会合で、次期戦闘機の第三国への輸出を解禁する閣議決定案と、防衛装備移転三原則の運用指針改正案を了承。これを受けて政府は来週26日の閣議と国家安全保障会議(NSC)9大臣会合で決定する段取りを決めた。極めて異例な個別の装備品輸出に関する政府方針の閣議決定の背景には公明への配慮があり、公明側も“腰砕け”となったのが実態だ。