失意のち“同じ”フランスで得た自信 古江彩佳「優勝っていうことを、忘れていた」
◇女子メジャー第4戦◇アムンディ エビアン選手権 最終日(14日)◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6523yd(パー71) 【画像】若かった…女子高生時代の古江彩佳 15番(パー5)で12mのバーディパットをねじ込み、古江彩佳が右手を挙げて笑顔を見せたのが意外だった。2022年「スコットランド女子オープン」で優勝した時も、ロングパットを次々決めて4打差から逆転優勝。当時は大きなリアクションもなく淡々とリーダーボードを駆け上がっていったが、今回は優勝にかける思いが違う。
18番(パー5)のイーグルで、右手を挙げて浮かべた笑顔には、どこかほっとしたような感情もうかがえた。「今年はずっと良いところまで行って、ずっと惜しいところで終わっていた」。大会前まで8度のトップ10入りを果たしながら、ツアー2勝目にはなかなか届かない。8月「パリ五輪」代表入りを目指していただけに、それが余計にもどかしかった。 代表圏内の日本勢2番手につけて迎えた6月「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」で山下美夢有が2位に入ってランキングが逆転。代表入りを逃し、大きな目標にひとつ区切りをつけて本大会を迎えていた。
「最近まで、優勝っていうことを忘れていたと思う」。優勝の向こうには、オリンピックというもうひとつの目標がチラつく。気持ちばかりが空回って、上位で戦えてもあと少しで優勝に届かない。「自分から落ちていくパターンが多かった」とここまでの試合を振り返る。 五輪出場を逃した悔しさはあったが、代表争いを終えて、少し肩の荷が下りた感覚もあった。今週は持ち前の安定感を取り戻し、第2ラウンドまでの36ホールはノーボギーで回って単独首位。最終日は、初優勝時をほうふつとさせる圧倒的な勝負強さを終盤で見せた。14番、15番は10m超のパットを続けてねじ込み連続バーディ。16番(パー3)で1.5mに乗せてバーディを奪い、首位との差を縮めていった。
首位タイで迎えた18番(パー5)は、ファーストカットからの2打目を3mにつけてイ―グル締め。「(オリンピックと)同じフランスで優勝できたのは、気持ちを晴らせたのかなと思います」とメジャータイトルを勝ち取った。 「ひとつの壁を破れたっていうのはすごくうれしい」と、メジャー優勝は再び自信を与えてくれた。初出場だった2021年は、スポット参戦で4位に入った。当時も「東京五輪」代表入りを逃した悔しさを抱えて参戦。上位に入り、米ツアー本格参戦を決めたきっかけになった大会でもある。「この優勝をしっかり自信にして、これからも優勝を狙っていきたい」。次戦はパリ五輪翌週の「スコットランド女子オープン」に参戦する。(フランス・エビアン/谷口愛純)