本部長「隠蔽」否定も、起訴の前部長と主張対立 信頼回復へ道険し 鹿児島県警の情報漏洩
「隠蔽」疑惑に加え、焦点となるのが、本田被告の行為の適否だ。
起訴状などによると、本田被告は3月28日ごろ、県警の不祥事をまとめた文書などを札幌市のライターに郵送したとされる。文書には、枕崎署員の盗撮事件について、当時の刑事部長が静観を指示したとする記載があり、問い合わせ先として同部長の住所が記されていた。
本田被告の弁護人は「内部通報のようなもの」と違法性を否定するが、盗撮事件の捜査は生活安全部が担当し、刑事部長は関与していなかった。文書には野川本部長による隠蔽の記載がない上、公表を望まないストーカー被害者の個人情報が含まれ、県警は「公益通報にはあたらない」との見解を示した。
本田被告側は自身の関与の発覚を恐れて刑事部長の名前を使ったと説明しており、公判での論点の一つになりそうだ。
■家宅捜索の是非は…
本田被告の逮捕に至る端緒となった県警の捜査手法に対しても批判が集まっている。
県警は曽於(そお)署巡査長=地方公務員法違反罪で起訴、懲戒免職=による別の漏洩事件で、ニュースサイトを運営する福岡市の男性宅に家宅捜索に入り、本田被告がライターに送った文書のデータを見つけたとみられる。男性側は「報道弾圧」と批判。取材源の秘匿を鉄則とする「報道の自由」を脅かす懸念が指摘されている。
県警は「メディアかどうかというより捜索先と捉えている。報道や取材の自由は理解している。(家宅捜索は)客観的証拠などを踏まえ、適切に行っており、(報道の自由への)影響はない」としている。