【バレなかった!けど】免取りを避けたくてオービス身代わり出頭を頼んだ社長の顛末
■身代わり男の再審裁判も傍聴したら
■身代わり男の再審裁判も傍聴したら 東京地裁が入る庁舎には東京高裁と東京簡裁も入っている。半年後、東京簡裁の開廷表に「道路交通法違反」の再審事件を私は見つけた。うわお、超珍しいぞ。 傍聴して、もう腰を抜かしたね。あの社長の身代わりとして出頭、罰金10万円を払ったA男を、無罪にするため、検察官が再審を請求したのだった。そんなのに偶然遭遇するとは! A男は、この再審裁判より前に「犯人隠避」の罪で罰金20万円の略式命令(略式の裁判手続きによる罰金の支払い命令)を受けたという。そのことについて不満そうに述べた。 A男「社長は私に一言も詫びをいってない。罰金20万円を苦しいなか払ったんで、半分持ってくれと言ったら断られました」 すぐに判決が言い渡された。 裁判官「主文。被告人は無罪」 再審無罪は「ラクダが針の穴を通るより困難」とか言われるが、それは被告人や弁護人が再審を請求した場合に限られる。検察官が請求すれば、めちゃくちゃスムーズに無罪となるのだ。 こうして、オービス身代わり出頭に関する刑事裁判の手続きはすべて終わった。社長はとんでもない人物に身代わりを頼んだね、と私は傍聴席で感じた。とんでもない人物でなければ、軽々と身代わりを引き受けたりしない、とはいえるかも。 文=今井亮一 肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から交通事件以外の裁判傍聴にも熱中。交通違反マニア、開示請求マニア、裁判傍聴マニアを自称。
今井亮一 Ryoichi Imai