44歳専業主婦が絶句…夫の「モラハラ気質」を思い知らされた連休中の「幼稚な嫌がらせ」
全国のDV相談件数は、配偶者暴力相談支援センターに寄せられたものだけで2014年度に10万件を超えて以降、増加し続けてきた。コロナ禍の2020年度に12万件を突破、2022年度まで3年間連続して12万件以上である。妻からのDVも増加しているが、相談については9割が夫に悩まされている女性たちからだ。 【写真】夫の実家に帰省したくない43歳妻が考えた「ズルい言い訳」 DVは物理的な暴力のみならず、もちろん精神的な嫌がらせやネグレクトもDVに含まれる。そしてゴールデンウィークのような連休時、家族での時間が増えると、初めて、あるいは改めて問題点に気づくことが多い。 そんなに嫌なら離婚すればいい。他人は簡単にそう思いがちだが、そもそも経済的な理由で離婚するのはむずかしい。離婚後の養育費が保証されているわけではなく、しかもそもそも子どもを連れて生活していくことさえ困難な女性が多いのだ。 シングルマザーの年収は272万、一方、シングルファーザーは518万円だという。この格差がシングルマザーをつらくさせている。簡単に離婚したら生活ができないのだ。だから離婚を踏みとどまり、夫からのDVに耐える女性が増えてしまう。
「呪いの言葉」に私は支配されてきた
「私だって本当だったら即刻、離婚したいところです」 前々からモヤモヤしていたことが、この連休中に一気につながり、自分は夫からモラハラをされていると気づいたばかりだと、アサミさん(44歳・仮名、以下同)は言った。 13年前、職場恋愛で結婚した。会社に規定はなかったが、6歳年上の夫は「きみが社内にいると気になって仕事がしづらい」と言った。それを照れだと受け取ったアサミさんは退職した。転職する間もなく妊娠がわかり、32歳で娘が、5年後に息子が産まれた。 「もともと彼は仕事上で先輩だったし、3年ほど同じ部署で働いていたので、社会人として尊敬していました。だから夫の言うことならすんなり聞ける。『いつまでたってもそそっかしいなあ』『相変わらずバカだな』と言われても冗談として受け流していたんです。 ところが私も母になり、しかもふたりの子を守っていかなければならない立場になってみると、夫の言うことに首を傾げることが増えていった」 夫は第二子が産まれた直後、「僕は外で稼いでくる。そのお金できみと子どもたちが生活できるわけだから、家の中のこと、子どもたちのことはきみが一切、責任をもってやってくれないと困るからね」と噛んで含めるようにアサミさんに言った。 「息子のときは難産で、こっちは疲れ果てている状態。そんなときに耳元でそうやってささやかれたら、ただのプレッシャーでしかない。 どうしてこんなことを言うのかなとぼんやり考えていたら、『わかってる? 子どもの将来はすべてきみの育て方にかかってるんだよ』と呪いの言葉が吹き込まれた。私はずいぶん、あの言葉に支配されてきたんだと思います」 そう思うようになったのは、この連休中での数々のできごとがきっかけだった。本来は小学生のふたりの子を連れて、夫の実家にみんなで行く予定だった。ところが連休直前、夫が仕事のトラブルを抱えてしまい、行けなくなってしまったのだ。夫はひどく不機嫌になった。 「それも今思えばおかしいですよね。夫は、自分の部下のせいでトラブル処理に追われたんですが、それは私たち家族のせいではない。むしろ予定を変更したことを私たちに謝るべきでしょう。それなのに思い切り不機嫌になっていた。 私が『私たちは大丈夫だから、あなたは仕事を優先させて。いつもごくろうさま』と言って初めて、『おう』と。おう、じゃないですよ、ごめんねと言うべきは夫だったんです。でも私は夫の不機嫌が怖いので、ついつい慰めたり励ましたり持ち上げたりするのが習性になっていた」 夫が実家を気にしているのかと推察して、「私たち3人で、あなたの実家に行ってこようか」とうかがうと、夫はまた不機嫌になった。「自分たちだけ遊びに行くつもりなのか」というわけだ。 「そんなつもりはないと言ったら、『じゃあ、前半はいつも通りに過ごそう。連休後半にオレが子どもたちをどこかに連れていくから』ということでおさまったんです」