猫×SNS×漫画の新星大ヒット作『俺、つしま』が書籍化 その魅力とは?
ストーリーに多少の脚色はあるものの、エピソードは作られたものではなく、ほとんどが実際に飼い主である兄妹の周りで起きたことばかりだという。 大きなつーさんが飼い主のお腹に乗ったまま降りないことで、愛しいながらも悶絶する様子に、「私にも経験がある!」と読者が反応するなど、「猫飼いあるある」に加え、ニッチな抱腹絶倒エピソードも多い。 例えば、近眼の飼い主が夜中にトイレに行こうとしてつまずき、猫かと思って「大丈夫!?」と撫でまわしたのは実は掃除機だったとか、ある朝、起きたら自分が臭く、「これが加齢臭か!」と大騒ぎしたら、実は猫のうんちが鼻の頭にくっついていただけだった、とか……。
いとおしい、いとおしい、いのち
ネタバレになるため詳しくは書けないが、猫と共に暮らす上で必ず経験する出会いや別れも盛り込まれており、猫を飼うとはどういうことか、あらためて考えさせられる側面がある。ふと涙が出てしまうシーンもあるが、後味は悪くない。 「笑いの中にも、本当の猫との暮らしに根ざしたシーンが描かれており、そこが嫌味なく涙を誘うのだと思います」(おじさん編集者) コミック化された『俺、つしま』に対しては、「感動した」「笑ったり泣いたりで忙しい」「何度も読み返してしまう」といった声が多く寄せられている。あまりの勢いに売り切れとなる書店が続出。発売1カ月を待たず3刷が決まった。 「思わずぷっと吹き出すベタなギャグがある中で、『うちにきてくれてありがとう』『おら、じじいに会えてよかっただ』などのセリフが、猫と暮らす人の心に響くのだと思います。私も涙しました。そして、作者は否定するかもしれまんが、作者の思いが凝縮されたセリフが最後に出てきます。そのセリフをかみしめていただければ嬉しいです」 最後のページでおじいちゃんは、こう締めくくっている。 「いとおしい いとおしい いのち 可愛らしいいのち たくさんのいのち みんな み~んな だ~い好き」 (取材・文:一乗谷かおり)
『俺、つしま』(小学館) 猫の描写がリアルなツイッター発猫漫画。昨年7月に突如ツイッターに登場し、じわじわとフォロワーを増やしている。アカウント@tsushimacatでは今でも不定期で漫画が発表され続けている。 作者:おぷうのきょうだい 作画=兄、文=妹の兄妹ユニット。2005年から自身のブログで個人的にイラスト付き文章を発表してきた。2016年、初めての兄妹展を開催。