西郷どんの弟役・渡部豪太、バラエティー番組での体験もすべて演技に生かす
バラエティー番組や食レポなども、役者の仕事にフィードバック
帰国してから、東京に住み、本格的に演劇を学び始めた。 「お芝居ひとすじ……というわけではなくて、バラエティー番組やイベントなどいろいろなことをやらせていただきました。重きはお芝居に置いていますし、私は役者だと思って活動しているんですが、そこから派生していろいろなところに呼んでいただけています」 演じることに対する情熱は、言葉の端々からほとばしり出るほど強いが、役者は芝居だけをやっていてもよくないのではないかとの思いがある。バラエティーの企画で海外へ行ったり、食レポのようなことをしたり、さまざまな仕事で体験したことは、すべて役者としての仕事にフィードバックされるという。 「日々の生活が充実していないと役に胆力が育たない……普段色気がないと役でも色気が出せない気がするんです。素敵な役者さんは、プライベートもきっと充実してると思います。役者をつきつめることは、人と交わりを持って人との間にちゃんといることのできる人間であることが一つの条件ではと」 2006年「チェケラッチョ!! in TOKYO」(フジテレビ系)、2007年「プロポーズ大作戦」(同)で注目を浴びて以降、ドラマ、舞台、映画と、多くの作品に出演し役者としてキャリアを重ねてきた。 「壁には毎日ぶつかっています。でもそれは、どんな仕事でも一緒だと思うんです。白鳥は優雅に見えて、水面下では足をバタバタさせているわけですが、誰もそんな様子は見たくないですよね。だから、いちいちそういう話はしないだけで。壁を乗り越えるには、もがくことしかないですよね。真摯に壁から逃げない、もがき続けるということが大事だと思っています」
俳優としての要素、バラエティー的な要素など、渡部が培ってきた仕事の要素が集約されたような番組が、4月からNHK・Eテレで新シリーズ開始となる「ふるカフェ系 ハルさんの休日」だ。歴史のある古民家が取り壊されつつある昨今、そんな家屋を次世代に残そうとする試みが、古民家をカフェにリフォームした「古民家カフェ(ふるカフェ)」で、渡部扮するハルが、実在のカフェを訪れる。 「もともと神社仏閣が好きで、たまに木目とかさわるとすっごいやわらかかったりするんですよね。木を山からいただいてきて、昔の職人さんが一本一本命がけでていねいな仕事をしたものが何百年も残っている。それは古民家にも通ずるものがあって。血が通ったものが好きなんでしょうね。人の知恵、職人の経験、携わった人の血が通ったもの。そんなものにふれられる旅でもあります」 ロケでは、勝海舟の書に突然遭遇するなど発見の連続で楽しいという。