「壱岐のモンサンミシェル」観光客増加で異変 小島神社参道の石段が崩落寸前の危機 地元住民らが修復費用募るCF
干潮時に参道が現れ「壱岐のモンサンミシェル」とも呼ばれる長崎県壱岐市の小島神社が、ある異変に悩まされている。参道の石段が崩落寸前の危機にあるという。元々簡易的な造りだったことに加え、近年観光客が増えて傷みが進んだ。安全確保のためにと、地元住民らが修復費用を募るクラウドファンディング(CF)を始めている。 ▶崩れかかった石段 市東部の内海(うちめ)湾に浮かぶ神社は江戸時代に創建された。2015年に文化庁の日本遺産に湾全体が登録。近年は交流サイト(SNS)などで干潮時の数時間限定で約200メートルの参道が現れる光景が投稿され、さらに人気を集め観光客が急増したという。 神社の鳥居をくぐると、社殿に続く約50メートルの石段がある。自然のままの石やブロックを積み上げたもので、歩きにくい上に、所々崩れそうになっている。地域住民でつくる田河まちづくり協議会の釆田真治会長は「参拝者を巻き込む事故が心配」と語る。 協議会によると、これまで補修は氏子たちが担ってきたが、現在17世帯にまで減り、高齢化もあり行き届かないという。「神々の島」とPRする壱岐市からも、宗教関連施設との理由で補助が受けられない状況。そこで協議会と氏子がCFをすることにした。 梅雨時期の事故を避けるため、修復工事は既に開始。基礎工事の上に階段や転落防止の柵を新たに設置する予定だ。湾に浮かぶ特殊な立地で車両による資材の搬入は難しく、干潮時にしか作業できないため工事費は高額になることが予想されるという。 寄付はCFサイト「READY FOR」で7月31日午後11時まで受け付ける。最終的には1千万円を目指す。支援者には金額に応じて、お守りや御朱印などの返礼品を用意する。 「工事も既に進めており“背水の陣”です」と強調する釆田会長。「直面している課題を私たちの世代で解決して、次の世代に残したい。観光客にも安心して訪れてもらえるようになれば」と期待している。協議会事務局=080(1386)9433。 (野田範子)