「見殺しにしてしまった」「たまたま助かった」津波恐れず家に留まった2人の男性、後悔の13年間 #知り続ける
この映像を教訓として
小野さんが録画ボタンを押したデジタルカメラは水没したが、奇跡的に映像は残っていた。その映像を見て、小野さんは「こんな映像は撮影してはダメだ」と感じたという。緊急時は撮影よりも逃げることの方が大事だと。 「命は助かったが、たまたま助かった、って言い方の方が正しい。そんな私が撮った動画は死ぬか生きるかの境目を記録したもののような気がして、これはちゃんと生かすことが大事なんじゃないかと思って」。 小野さんは映像を使いながら、当時経験して思ったことを伝える語り部の活動を始めた。 「少しでもおかしいと思ったら、いち早く逃げてください!逃げないという事は誰か助けに来る人がいます。タイミングが悪ければその人の命も犠牲にしてしまうかもしれません !」。 一人一人が、助かる行動を自主的にとる事が大切と訴えている。いわき市内では最年少の語り部だ。
「見殺しにした」…供養のために語る
大谷さんは、あの時の光景が今も、脳裏から離れない。 「私はおばあちゃんの目をみている、あの時のあの目の色…片時も忘れた事はない。私は…私は…見殺しにしてしまったんです…」 自分の命を守るために、犠牲にしてしまった命がある…。しばらくは、この事実から、夜も眠れずに、涙を流しながら日々を過ごしていた。 大谷さんは自力での避難が困難な人について考え続けている。国などはそうした人をスムーズに避難させるため、サポートする人の名簿を作るなどの取り組みを進めている。しかし、大谷さんは住む場所についても、災害時のことをもっと考慮すべきだと考えている。 「必ず誰かが付いて避難させるってことは、私は不可能だと思います。住まいを変えたり環境を変えたりすることも、場合によって大切だと思います」。 後悔と悲しみが入り混じる表情で大谷さんは最後にこう語った。 「私が置き去りにして亡くなってしまったおばあちゃんも何かの教訓にはなるはずですよね、でもこれは全部後付けなんですよね、後付け…」 震災の経験についてしばらくは誰にも話せなかったという大谷さん。おばあさんへの供養の気持ちを込めて、今は語り継ぐ活動に身を尽くしている。 ※この記事は、福島中央テレビとYahoo!ニュースによる共同連携企画です
福島中央テレビ