「馬鹿にしているのか」ヒグマ駆除 町と猟友会が交渉決裂「高校生のバイト以下」
■ハンターのリスクと負担 高齢化も
野生動物の捕獲や駆除に協力することが多いハンターの団体「猟友会」。奈井江町の猟友会が「今回は協力できない」としたのには、報酬金額以外にもリスクの問題がありました。 山岸さん 「ひざ丈まで草があれば、彼らは体重200キロあって、5メートル離れた所に身を隠しても分からないですよ。だから、特殊部隊を相手にして、ハンターが勝負を挑むようなもんですよね」 実際に3メートル近いヒグマと対峙(たいじ)した北海道猟友会・砂川支部の池上治男支部長 (75)は、次のように述べました。 池上さん 「(Q.かなり鋭いですね?)だいたい275キロ、2メートル75センチ。手脚合わせたら、3メートルくらいのヒグマの爪なんです。これが手についてるわけ。5本!これ5つ!これで頭をドーンとやられて、犠牲になった人がたくさんいる」 さらに、自身の生活や猟友会の高齢化も…。 山岸さん 「正直、私たち仕事してるんで。それほど暇じゃないです」 介護関係の仕事をしているという山岸さん。奈井江の猟友会は5人が所属していますが、全員仕事をしながら、ハンターとして活動しています。さらに、5人中3人が70代だといいます。 山岸さん 「町民のためとか、住民のためとか。それは自分たちの生活あっての話で、余力でやる話で。自分たちの生活犠牲にしてまでやりますかって話です」
■途絶えたまま…猟友会との交渉
三本町長は、猟友会から協力を断られたことについて、次のように述べました。 三本町長 「たたき台でしか、まだなくてですね。残念ながら、そこの段階できちんとした意思の疎通が出来なかったということでしょうね」 1万300円という報酬額については? 三本町長 「どのくらいの報酬が妥当なのかっていうことでの議論が、おそらく全国でもされていないと思っていて、それを協議するということだと思うんですよ。そういう意味では見直しありきというよりも、それを作り上げていくということが協議の始まりであってほしかったという気はしますよね」 町が提示している1万300円というのは、予算で出せる最大の額なのでしょうか? 三本町長 「そういうことじゃなくて。だから、隣町と一緒のベース。それをベースに予算を組んだというだけの話ですよ。上がる可能性は全然あるし、上げることは一つも、やぶさかでないので。一回も上げるつもりないと言っていませんから」 町は「提示額は隣町を参考にしたベースの額で、安全確保の話についても、話し合いを進めていくつもりだった」ということです。 三本町長 「私たちとしては、町としての担当からの思いが伝わらなかったのかなと思って。そこのところは本当に反省しなきゃいけないなと思っています」 現在、猟友会との交渉は途絶えたままです。 町は「当面、猟友会に所属していないハンターにボランティアとして協力を仰ぐ」ということです。