「夏越ごはん」誕生から10年目 外食中心にじわり浸透
夏の行事食「夏越(なごし)ごはん」が誕生から10年目を迎え、外食を中心に広がりを見せている。提供店舗数は増加傾向で、洋風などアレンジメニューを提供する店舗も出てきた。学校給食では季節の献立で定番化の動きもあるという。夏の米消費拡大の一手として、注目度が高まっている。 【画像】カニクリームコロッケをのせた夏越ハヤシライス 「夏越ごはん」は、6月30日に残り半年の無病息災を祈る神事「夏越のはらえ」にちなんだ行事食。神事に使う茅(ち)の輪をイメージして夏野菜を丸く調理したものを、雑穀ご飯に載せる。米の一大消費イベントに育てようと米穀機構が企画したもので、今年で10年目となる。 「夏越ごはん」の提供は、外食店を中心に、百貨店やスーパー、学校給食や社員食堂などにも広がっている。前年は全国500店舗余りで提供されたが、「今年は自発的にメニュー展開をする業者もいる」(同機構)として、提供店舗数は増加傾向となる可能性が高い。 当初は夏野菜のかき揚げを使ったものが中心だった。ただ、洋風やエスニック風にアレンジしたメニューも増えてきた。東京都港区の飲食店「にっぽんの洋食 赤坂津つ井」は、リング状に仕上げたカニクリームコロッケを乗せた夏越ハヤシライスを新たに開発。カレーや海鮮丼で提案する店舗もある。 「夏越ごはん」の一層の周知を目指して、同機構は公式ホームページを刷新した。若年層の共感獲得を狙ったアピール動画を新たに公開した他、掲載レシピ数を11まで増やした。 同機構は「息の長い取り組みにしていくことが肝心」として、認知度向上に努める姿勢だ。
日本農業新聞