ラガルドECB総裁、米金融政策の影響認める-3月会合から姿勢変化
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、単独でも利下げに踏み切る方針を固めているものの、米金融政策の影響を遠回しに認めた。
ECB政策委員らは将来の金融緩和の道筋を巡って過去数週間議論を戦わせてきたが、11日のラガルド総裁は、行動が見込まれる6月より後についての臆測を控えた。一方で、米国の動向による影響を問う質問には、強く反発した3月から口調を和らげた。
「われわれはデータに依存しており、米当局に依存しているわけではない」と述べつつ、「米国は非常に大きな市場であり、経済規模も非常に大きく、主要な金融センターでもあるため、全てがユーロ圏にも波及してくる」と続けた。
ECB、金利据え置き-インフレ低下なら6月利下げと示唆 (2)
3月にラガルド総裁は「自分らが必要な行動を判断する」と主張。政策委員会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は当時、「ECBは13番目の米地区連銀ではない」と述べていた。だが、今回の発言は3月に比べて含みを持たせている。
10日に発表された米消費者物価指数(CPI)上昇率は市場予想を上回り、利下げ見通しについて世界的な修正を引き起こした。ECBの政策判断後、ユーロは2カ月ぶりの安値に沈み、米欧で金融政策が乖離(かいり)すれば金融市場にどれほどの混乱が生じ得るかを浮き彫りにした。
ユーロ圏経済の勢いは弱く、米国のインフレは根強い。これが米欧の政策乖離のシナリオにますます説得力を持たせている。
ベレンベルクのエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は「データからのメッセージは明らかだ。ユーロ圏は利下げが必要だが、米国は必要としていない。選挙前の拡張的な財政政策が高金利の影響を打ち消している」とリポートで指摘した。
シュミーディング氏は現時点で、ECBが6月6日に行動し、米当局の行動はその半年後になる可能性があるとみる。そのような政策乖離は異例だが、両地域の経済動向が違うため正当化される。