【株式フジ】 力量は未知数も 株式市場の最大の関心事は引き続き27日に投開票される自民党総裁選です。投資家が注目しているのは次の首相が誰になるかというだけでなく、新たな首相によって政治に刷新感が出て、新政策が株式市場で個別銘柄の株価を押し上げるかどうか、ということでしょう。 前回の当欄では株式市場に最もフレンドリーな候補として、高市早苗候補を指摘しました。積極財政を唱え、故安倍晋三元首相にも近い存在です。 高市氏が当選した際には、この夏まで急上昇していた「三菱重工業（7011）」、「日立製作所（6501）」、「三菱UFJフィナンシャル・グループ（8306）」など主力株の動きが復活するとみられます。 今回は小泉進次郎候補に関連する動きを想定していきます。まず小泉氏は株式市場全体にとってポジティブでもネガティブでもないと思われます。 菅義偉政権で環境相を経験しているものの、いわゆる重量級閣僚の経験はなく、党四役に就いたこともありません。この点からは力量は未知数ですが、日本の政治家の中でもトップクラスの知名度と選挙の強さを誇ります。また、43歳という若さ、さらには夫人が滝川クリステル氏ということも、仮に首相に就任した場合、「新しい風」を吹かせると思われます。 小泉氏は自らの政策として「解雇規制の見直し」を打ち出しています。一部では会社都合による解雇が増えるのではないかと懸念されたものの、「大企業に限ってリスキリング（学び直し）や再就職支援の強化などを行うもの」と説明を加えています。 株式市場ではリスキリングが材料視される可能性があります。個人向けオンライン資格講座を手掛ける「KIYOラーニング（7353）」、企業向けに講師派遣型研修や公開講座を手がける「インソース（6200）」などに追い風となりそうです。 また、労働市場の流動化が加速するとみられることから、会員制転職サービス「ビズリーチ」を運営する「ビジョナル（4194）」や、短時間のスキマバイトマッチングサービスを展開する「タイミー（215A）」などにも目が向きます。 小泉氏はこのほか、アプリなどを通じ一般ドライバーが自家用車で乗客を運ぶ「ライドシェア」の全面解禁を公約としています。すでに一部の地域で実施されていますが、これを全国展開する姿勢です。タクシーアプリ「GO」に出資している「ディー・エヌ・エー（2432）」が関連銘柄の筆頭になりそうです。　（株式ジャーナリスト）