【NHKマイルC】アスコリピチェーノ反撃ムード 初敗北の桜から中3週でも躍動感アップ
<追い切りの番人> NHKマイルC(G1、芝1600メートル、5日=東京)に向けた最終追い切りが1日、東西トレセンで行われた。G1注目馬の調教を掘り下げる「追い切りの番人」では、東京・井上力心(よしきよ)記者が桜花賞2着馬アスコリピチェーノ(牝、黒岩)の動きをチェックした。デビュー以来最もレース間隔の短い中3週、昨年の新潟2歳S以来の美浦での調整となるが、1週前には自己ベストを大きく更新。初黒星を喫した前走から反撃ムードがひしひしと伝わる。 ◇ ◇ ◇ 初の敗北を味わってから約1カ月。阪神JF、桜花賞は栗東滞在で調整されたアスコリピチェーノは、今回は久々にホームの美浦で仕上げられた。今回はデビュー以来最も間隔の短い中3週。短期間での環境の変化は、この時期の牝馬にとっては決して楽なハードルではない。それでも陣営は1歩踏み込んだ調教を課した。それは、類いまれなメンタルの強さを信じていればこそだった。 黒岩師 落ち着いて食事もしっかり取れているのでこちらのやりたい調整ができる。何度も入退厩を繰り返してきた経験も安定した調整につながっている。一番の基になっているのは精神面。この時期の牝馬ではなかなかいません。 師は想像を上回るほどたくましく成長する愛馬の姿に胸を張る。「今回も食欲があって回復は良かったですね。慎重にというより、しっかりやろうということをテーマにやりました」。ゆとりのある精神状態を確認した上で、これまでよりもう1段階上を求め、1週前追い切りではさらに負荷を強める判断を下した。美浦ウッド6ハロン79秒4(末強め)は栗東でも出していない自己ベスト。次位に0秒5差をつける、この日断トツの1番時計をマークした。 先週しっかり攻めた反動もなく、美浦ウッドの最終追い切りでもやる気に満ちあふれた走りを見せた。ブレのないなめらかなフットワークで6ハロン82秒2-11秒1(馬なり)。一段と気持ちが乗り、躍動感や推進力がアップ。自らのやるべきことをしっかり把握しているクレバーな面も感じられた。黒岩師は「日曜も時計を出せていますし、今日も併せ馬でいい動きができたと思います。強い相手に挑めるだけの体調は整った。自信を持って送り出せます」と最終リハでさらに自信を深めていた。より総合力が求められるというマイルの舞台。桜花賞の悔しさも胸に、牡馬撃破でいま一度マイル最強を証明する。【井上力心】