センバツ高校野球 中央学院、快挙4強 「粘り」でピンチ切り抜け あす報徳学園と準決勝 /千葉
第96回選抜高校野球大会第9日の28日、中央学院は準々決勝で青森山田に5-2で勝利し、春夏通じて初の4強入りを果たした。1点を追う二回に蔵並龍之介(3年)の適時打で同点とした後、青木勝吾(同)が2本の2点二塁打で4打点と活躍した。投げては、甲子園初登板の蔵並と継投の颯佐心汰(同)で2点に抑え、守備の好プレーも相次いだ。準決勝は大会第10日第2試合(30日午後1時半開始予定)で、報徳学園(兵庫)と対戦する。【林帆南、中田博維】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 「やぐら(トーナメント表)を見て、勝負するならとこの日を待っていた」と語った相馬幸樹監督(44)が起用した先発投手は、背番号「1」のエース蔵並だった。甲子園に来て、初戦から2試合は登板がなかったが、28日朝にようやく先発を伝えられ、「やってやるぞ」と気合を入れた。 一回裏。先頭打者への初球で中前打を許した後、けん制をはさみながら走者の動きを封じていたが、犠打や暴投で2死一、三塁のピンチを招いた。続く相手打者の左前打で1点を失ったが、捕手の飯山成夢(3年)は「心配はなかった。ピッチングの状態は良かった」と信じていた。 二回表に飯山が敵失で出塁すると、蔵並が自らの安打で飯山を還して同点に。さらに上村晃平(同)の安打で2死一、二塁の好機をつくると、次の青木が放った飛球を相手の左翼手が取り損ね(記録は安打)、蔵並・上村が還って2点を追加した。青木の父康弘さん(63)は「自宅では手が掛からない意外と静かな子ですが、頼もしいです」と活躍を見守った。 さらに2点を追加した四回の守りでは、四球や内野安打で2死満塁のピンチに。蔵並は「野手を信じて打たせよう」という気持ちの一方、「絶対に打たれない」と強気で投球。右飛で仕留めて、しのいだ。蔵並の父俊也さん(46)は「この舞台に立てることがうれしい。いつも通り、粘り強く投げている」と感慨深げだった。 終盤に強い青森山田は、九回裏に左前打と左中間二塁打で1点を返して追いすがったが、八回裏に継投した颯佐が後続を抑えて試合を締めた。 チームの歴史的な大躍進に、アルプスからは惜しみない拍手が送られた。2、3年生部員が入る寮で共に過ごし、選手たちを私生活でもサポートしてきたコーチの塚越爽太さん(24)は「言葉に言い表せません」と喜びをかみ締めた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇強い打球で次へ自信 中央学院 青木勝吾外野手(3年) 同点の二回表2死一、二塁の好機で「どんどん振っていこう」と打席に立ち、初球の直球を強振。打ち損じたように感じたが、相手の野手が取り損ね、勝ち越しの適時二塁打となった。「できすぎくらいだが、自信になった」とはにかむ。 もともと打撃には苦手意識を持っていた。昨秋の公式戦の打率は2割4分5厘。指導者は「打球の弱さ」を指摘していた。守備や強肩は買われていたが、「バッティングがこれでは勝てない」と危機感を抱いた。 冬はウエートトレーニングに取り組み、体重は5キロほど増えた。昨秋の県大会予選で敗北(後に敗者復活し県大会優勝)した後は、捕手の佐藤佑人(2年)を誘って毎朝バッティングの自主練習に励んだ。 走塁技術にたけ、チームの「機動力」をリードする人材として、今回の大舞台で一番打者に。初戦では2本の長打で勝利に貢献し、準々決勝でも3本の二塁打を放った。 「スイングが強くなり、強い打球を飛ばせるようになった。(次戦も)挑戦者として粘り強くプレーしたい」【林帆南】