中国版〝トップガン〟の本気度、日本人には笑えないシーンも多々 テストパイロットの情熱を描く 映画「ボーン・トゥ・フライ」
【エンタなう】 ワン・イーボー主演 逆光の夕暮れをバックに戦闘機と男たちが映える。まるで「トップガン」ではないか。しかし、彼らの背後にたなびく五星紅旗にハッとする。公開中の映画「ボーン・トゥ・フライ」(原題・長空之王)は、新世代のステルス戦闘機開発に挑むテストパイロットの情熱を描く中国のスカイアクションなのだ。 優れた操縦技術を持ちながら、訓練中のトラブルで、能力を活かせないでいた空軍パイロットのレイ・ユー。テストパイロットチームの隊長からチームに誘われ、過酷な選考を経て7人のテストパイロットのひとりに選ばれる。高度1万メートル以上の極限で成果を出せず、イラだってライバルのドンと衝突するのだが…。 レイを演じるのは、中韓ボーイズグループUNIQでも活躍するワン・イーボー。第二次大戦下でスパイの攻防を描く映画「無名」で頭角を現した。レイの心の支えとなる女性軍医に〝13億人の妹〟チョウ・ドンユィ。だが、浮ついたシーンはほとんどなく、「欧米の戦闘機に負けるな」とばかり、第5世代ステルス戦闘機「殲―20」開発のテストに余念がない。 監督のリウ・シャオシーは、実際にテストパイロットの親友を亡くし、中国初の空母「遼寧」のプロモーション映像も手がけた空撮のプロ。国家の威信をかけたバーチャル映像は、エンターテインメントとして一級だがこれはもはや情報戦? 日本人には笑えないシーンも多々。それも含めて緊迫した国際情勢がよくわかる作品ではある。 (中本裕己)