牝馬クラシックの行方がわかる「3歳牝馬ランキング」 激戦かつハイレベルななか1位になったのは?
1位は、阪神JFを制してこの世代の2歳女王となったアスコリピチェーノ。前回から8ポイント上積みして、首位に立った。 伊吹雅也氏(競馬評論家)「2月11日終了時点での本賞金は1億320万円で、JRAに所属する現3歳世代の牝馬としては単独トップ。半兄のアスコルターレが3歳春までにオープン特別を2勝するなど、JRAでデビューした兄姉がすべて勝ち上がっている堅実な血統です。 2017年以降の過去7年に限ると、阪神JFで2着以内となった馬の3歳牝馬三冠競走(桜花賞、オークス、秋華賞)における成績は、6勝、2着6回、3着5回、着外15回(3着内率53.1%)。やはりこのレースの上位馬は、翌春のビッグレースでも相応に高く評価するべきでしょう。桜花賞はもちろん、距離適性を不安視されそうなオークスでも侮れません」 土屋真光氏(フリーライター) 「阪神JFでの勝利はメンバーが手薄になったことによるもの、と見る向きもありますが、GIII新潟2歳S(8月27日/新潟・芝1600m)も含めて3連勝というのは、並の馬ができる芸当ではありません。 ダイワメジャー産駒は阪神マイルのGIで強いことはよく知られていますが、これまでに結果を出している馬たちとはちょっとタイプが違う印象。もともと素質だけで走っているイメージがありましたが、阪神JFでは力強さも見せました。オークスまでとなると、距離適性に疑問が残るものの、桜花賞では十分に主役となるでしょう」
2位は、クイーンズウォーク。ランク外だった前回から急浮上した。管理するのは、昨年の三冠牝馬リバティアイランドと同じ中内田充正厩舎。一気に勢力図を塗り替えるのか、注目の1頭だ。 吉田順一氏(デイリー馬三郎)「馬体重520kgほどのキズナ産駒ですが、脚が長く、胸囲が少し狭め。もう少し胴に厚みが出てくれば、上下のバランスが整いそうな体形です。つなぎは長めで、クッションは少し硬め程度。ダイナミックなフットワークで、長くいい脚を使えるタイプです。飛びが大きいこともあり、前半から忙しい競馬が合わず、少しずつギアを上げていく競馬がベストでしょう。 新馬、未勝利と、ワンターンの京都、阪神の芝1800m戦に出走。東京・芝1600m戦の前走、クイーンCで重賞勝ちを決めました。距離を詰めることは本意ではなかったと思いますが、今の体質を考慮すれば、詰めて使うローテーションの選択肢はなく、一発回答で桜花賞やオークスに迎えるレースを探ると、クイーンCしかなかったのでしょう。 同レースでは大外枠からスタートを決めて後方に下がりましたが、流れには乗れていました。結果、安全策の外を回す競馬で、2着アルセナール(牝3歳/父エピファネイア)以下をねじ伏せて快勝。昨年の三冠牝馬リバティアイランドと今の時点で比べるのは酷ですが、芝2000m以上ならいずれは近づける逸材です。 流れがタイトになる桜花賞は、本質的な距離適性からすると苦戦する可能性がありますが、オークスに関しては、かなりの確率で勝てる算段。世代トップ級の評価が妥当です」 3位は、前回1位だったチェルヴィニア(牝3歳/父ハービンジャー)。阪神JFを左トモの違和感によって回避し、順調さを欠いたことによってランクダウンした。それでも、賞金は十分に足りていることから、桜花賞へはぶっつけで向かう。 木南友輔氏(日刊スポーツ)「阪神JFを回避し、桜花賞直行が発表されましたが、当初のローテーションどおりにいかなかったことによる影響はそれほど気にしなくていいでしょう。"ノーザンファーム&木村哲也厩舎"というタッグには素質馬がたくさんいるなか、クリストフ・ルメール騎手が早くから騎乗を決めていたのがこの馬。戦線復帰すれば、主役となるべき存在です」