アジア通貨と株が軒並み安-ドル高と元安レート、勢い欠く中国成長で
(ブルームバーグ): 16日の外国為替市場では、米ドル相場が再び上昇の勢いを増し、アジアの新興国・地域通貨は、対ドルで注目されていた相場の節目を軒並み試す展開となった。自国通貨の下落に歯止めをかけるため、一部の通貨当局は為替市場介入を余儀なくされた。
中国の1-3月(第1四半期)の国内総生産(GDP)は予想を上回る伸びとなったが、景気回復に期待を持てるほどの強さを欠いた。米政策金利の高止まり観測への不安も加わり、アジア株の指標であるMSCIアジア太平洋指数は2%余り下げ、昨年8月以来の大幅安となった。
台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子などテックハードウエア関連株が指数の下げを主導し、このままいけば昨年8月以来で最も長い5営業日続落となりそうだ。日本株と韓国株の下げが特に目立ち、オーストラリアのS&P/ASX200指数は年初来の上昇分を消した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は5営業日続伸し、この期間の上昇幅を約2%に拡大した。短期金融市場が織り込む米当局の利下げ開始時期はいまや9月で、1週間前の7月から後ずれした。
INGグループの為替戦略責任者、クリス・ターナー氏は「現時点でドル強気の流れに逆らうのは極めて厳しい」とリポートで指摘。ブルームバーグ・ドル指数はさらに1.2%上昇して1280に達し、昨年10月以来の高水準に達する可能性があると同氏はみている。
ドルの騰勢に押される形で、中国人民銀行(中央銀行)は管理フロート(変動相場)制の制御を緩めざるを得なくなった。人民銀はこの日、人民元の中心レートを1ドル=7.1028元と、3月1日以来約1カ月ぶりの元安水準に設定し、アジアの新興国・地域通貨への下押し圧力が高まった。インドネシア・ルピアと韓国ウォンが特に大幅な下げに見舞われた。
インドネシア・ルピアは2020年以来4年ぶりに対米ドルで1ドル=1万6000ルピアを割り込み、インドネシア銀行(中央銀行)は、ルピア買いの市場介入に動いた。