カニ4足3万円…“ぼったくり市場”と炎上した黒門市場のその後。「地元の人に買ってもらえるように」と相場はややリーズナブルに。それでも中国人オーナー店が値段を下げないワケ
エビ1尾3500円、カニ4足3万円…外国人観光客向けに、相場が高騰しまくっていた大阪・難波の「黒門市場」。今年7月、黒門市場の現状についてレポートしたところ多くの反響が寄せられた。あれから5ヶ月、黒門市場に変化はあったのか。 「ぼったくり市場」と炎上して安くなった…? 写真で見る大阪・黒門市場の現在
炎上効果? 良心的な値段のお店が増加
「あの記事が出てから、ネットで『ぼったくり商店街』って炎上したでしょ?それはここで働く人たちも気にしていて、今は全体的に値段は下がったね」 そう語るのは、黒門市場で長年、鮮魚店を営む50代の男性だ。黒門市場といえば、江戸時代後期の1822~1823年に誕生し、質の高い“ほんまもん”の品物が手に入る市場とあって、難波の飲食店の仕入れから一般客まで多くの人々が往来してきた由緒正しき商店街だ。 しかし、インバウンド需要の高まりによって、かつての面影は失われてしまっていた。ある旅行業界関係者はこう語る。 「もともと黒門市場は『ある程度高いけど、質のいいモノが手に入る』という安心感があった。しかしインバウンドの影響で、外国人観光客に合わせた“観光地価格”に値上げする店が増えていき、地元の常連客が離れていった。 近年では、SNSで『高すぎて行かない』『黒門市場は変わってしまった』などのカキコミも相次いでいた」 集英社オンラインが今年7月に黒門市場の様子についてレポートした(#1、#2)ところ、タラバガニ4足3万円、エビ1尾3500円など、いわゆる“観光地価格”どころではない強気の値段設定で商売している店が多数見つかった。 しかし、現在の黒門市場の状況について、冒頭の男性はこう続ける。 「これまではインバウンド価格でやってましたけど、今は地元の人に買ってもらえるように良心的な価格で商売する店も増えましたね。ある店舗は、毎日16時のタイムセールで値引きしてますし、リピーター客に一品サービスしている店もあります」
中国人オーナーの店舗は依然高額
12月某日、再び黒門市場を訪れるとタラバガニ4足で1万5000円~1万9000円と、当時の価格に比べるとかなり下がっていた。一方で、依然として高額な値段設定をつけている店舗もある。 ホタテは1個1500円、岩牡蠣1個1500円、タコ足1本1500円、神戸牛肉串1本3000円など、魚介類においては産地が記載されていない店も多いため、適正な相場はわからないが、日本人の感覚としてはおいそれと購入したくなる金額ではない。しかし、そういった店にも外国人観光客は大勢押し寄せていた。 この状況について、黒門市場の某老舗店舗の60代の男性はこう話す。 「たしかに最近はどこも『適正価格で商売していこう』という雰囲気になってるけど、それは昔からここで商売している人たちに限った話。インバウンド需要が高まってからオープンした店は中国人がオーナーのところがほとんどで、そういう店はいまだに値下げの動きは感じられないね」 それでも客足は途絶えないという。それはなぜか。 「ああいう店には、だいたい中国語を話せる店員がいてコミュニケーションが取りやすいのが理由だろうね。8月には福島第一原発の処理水問題があったから中国人観光客が来なくなっちゃうんじゃないかと心配してたんだけど、そんなのどこ吹く風。彼らは日本の海産物を『うまいうまい』と言って食べてるからね」(同)