キングコング西野『ボトルジョージ』制作秘話を披露 コマ撮り作品の魅力は「AIが生成できない」
『こまねこのかいがいりょこう』映画公開記念トークショー
お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣が5日、都内で行われた『こまねこのかいがいりょこう』映画公開記念トークショー付き上映会に登壇。コマ撮りの魅力、短編映画『ボトルジョージ』の制作秘話を語った。 【動画】「ジブリ美術館みたい」「改めて天才」と話題…キンコン西野の建設中の豪邸 『こまねこ』は、2003年に誕生した、日本のコマ撮りアニメーションの最高峰・ドワーフスタジオのオリジナル作品。“こま撮り”が好きな猫の女の子“こまちゃん”の日常を、優しさあふれる世界観で描いている。西野は、原案・脚本・製作総指揮を務めたコマ撮り短編映画『ボトルジョージ』をドワーフスタジオとともに作り上げており、同作と『こまねこのかいがいりょこう』のプロデューサーを務めた松本紀子氏とトークショーを実施した。 11年ぶりの新作となる『こまねこのかいがいりょこう』を観賞した西野は、「お世辞抜きで良かった。こまねこを見ていたら、本当にスタッフさんが愛でているんだなという感じが仕草から伝わってきました。かわいかった」とコメント。名作との呼び声が高い『はじめのいっぽ』『こまとラジボー』『ほんとうのともだち』の3作品とともに上映されており、「20年くらい前の作品で、こまねこの最初の完成度が高かった。みなさんも感じたと思うのですが、まったく古くなっていない。素晴らしい。いいものを見させていただきました」と絶賛した。 『ボトルジョージ』制作のきっかけについては、ピクサーの大ヒット作『トイ・ストーリー3』などに携わった堤大介監督との出会いを振り返りながら、「絵本を出すということでスタートしていたのに、ある日突然、堤監督が『コマ撮りどうですか?』と言い始めて、一気に面倒くさくなった」と説明。「どう考えても作業が増える。絵本だったら、この辺に着地するのが見えていたのですが、コマ撮りとなると、作り方も分からない。どうやって届けたらいいか分からないということで、いろいろ面倒なことになったと思ったのですが、せっかく挑戦するのだったらなるべく面倒なほうがいいと思った。言い出しっぺは堤さんです」と明かした。 コマ撮りの魅力を聞かれると、「何も分からずにスタートしたのですが、初めてみて制作過程が面白い。(今の時代は)AIで完成品が出てきてしまうから、AIが生成できないものは何かと考えたら、制作過程、プロセスはすごい価値を持っていると思う」と言及。「自分たちと肌が合うのではないかと思ったのは、アニメーションに限らず、エンタメを作るときは、お客さんと一緒に作るバーベキュー型、とにかくお客さんを巻き込む。それをやろうと思ったときにめちゃくちゃいいなと。プロセスが魅力的だったのはデカかったです」と話した。 松本氏が、西野が「映画はライブだ」と発言していたことについて興味を示すと、西野は若者と映画について話したエピソードを持ち出し、「『スラムダンク』のリバイバル上映を観た20歳の子が『やっぱり生はいいですね』『生の音はすごい』と言っていた。それが何の狙いもなく言っていたんです。映画の価値って、それなんだ。ライブとして打ち出していくと、映像メディアと競合でもなんでもない。体験がめっちゃ大事なんだと勉強になりました」と感心。「10年以上前から、初音ミクのライブとかはあった。ステージ上に生身の人間が出ているか否かがライブか否かを分け隔てるものではなく、やはり体験が一定ラインを越えた瞬間にライブになる。ここを打ち出していくことが大事だと思いました」と熱弁した。
ENCOUNT編集部