渋滞の事故リスクは、いつもの「40倍」以上! ベストな回避術は何か
最新渋滞回避術
渋滞回避は事故回避とともに ・時間 ・ストレス を軽減するなど、いいことづくしであることを紹介してきた。では、どうすれば、効果的に渋滞を回避できるのだろうか。やはり一番は、各高速道路会社が運営するサイトで渋滞予測情報を確認するのが手っ取り早い。 例えばNEXCO中日本のドライバーズサイトを見てみると、リアルタイム交通情報や渋滞予測カレンダーの閲覧に加え、渋滞予測を加味したルート検索を行える。渋滞ポイントも確認できるうえ、工事の規制情報なども閲覧可能だ。事前にこうした情報を収集して渋滞回避するためのプランをたてることができるのだ。 NEXCO中日本が実施している渋滞回避のための「渋滞減らし隊キャンペーン」「渋滞回避サンクスキャンペーン」や「料金調整(ETC)」を活用するのもいいだろう。詳細はウェブサイトを確認してもらいたいが、渋滞減らしたいキャンペーンを実施している東名リニューアル工事東京IC~東名川崎IC間では事前登録の上、工事期間中に対象ルートを5回走行するごとにQUOカード1000円分がプレゼントされる。 さらに、ナビなどに搭載されているVICSも活用できる。VICSは渋滞や交通規制等の道路情報を、FM多重放送やビーコンを利用してカーナビに送るシステムだ。リアルタイムで情報更新されるので心強い。道路情報だけでなく災害や気象条件等による規制情報なども提供されている。最大約200kmの範囲で情報を受け取れる。そして、 「プローブ情報」 と呼ばれる、車両の走行情報を活用することもできる。ETC2.0では、自動車メーカー各社が保有しているデータを元に交通情報が総合化され、ナビと連動して情報提供されているのだ。ETC2.0では最大1000kmの広範囲で情報収集が可能だ。
未来の車は渋滞知らず
日進月歩の渋滞回避に役立つ情報提供システムだが、今後の鍵は自動車と交通インフラのIoT化だ。現在すでに多くの車はプローブ情報を発信している。自動車と交通インフラはすでにインターネットとは切り離せない状態にあり、情報のリアルタイム化がさらに進めば、より正確な交通情報を即時共有することが可能となる。 そのうえで、自動運転技術の進歩も欠かせない。自動運転車両が周囲の車から発信される車両情報を取得し、自動運転に反映させることにより渋滞自体を緩和させることが期待できる。サグ部(下り勾配から上り勾配に変わる凹型の構造を持つ場所)の渋滞など、人間の運転によって発生する渋滞に対して、自動運転は効果的な解決策と言える。自動運転車にAIが導入されるようになれば、どんどん情報を吸収して学習し、運転技術を向上させていくことができるだろう。 これらの実現には解決しなければならない問題が多い。しかし、自動運転技術とAIによる自動車の進化と普及は、すぐそこまで迫っているのだ。現に昔はマニュアル車が普及していたが、近年は多くの人がオートマ車を運転している。これは、「少しでも運転の負担を軽減させたい」というドライバーが多いことにもつながっており、渋滞回避に貢献できる自動運転も“ストレスや負担を軽減できる技術”として、魅力的に感じる人も多いはずだ。 本稿では渋滞回避がいいことづくしであることを取り上げたが、将来的には、渋滞は 「前時代的な話」 だと笑われる日が来るかもしれない。
喜多崇由(フリーライター)