韓国国会、野党が規模削減した2025年予算案を可決
(ブルームバーグ): 韓国国会は10日、2025年予算案を可決した。これに先立ち、最大野党・共に民主党は予算案の規模を一方的に4兆1000億ウォン(約4300億円)削減していた。
尹大統領は先週、「非常戒厳」を宣布した際、理由の一つとして野党の予算削減を挙げていた。野党が削減対象としたのは、与党が盛り込んでいた大統領府や検察、警察の予算。非常戒厳は数時間後に解除された。
今後の国政運営を巡る与野党の攻防が続く中、共に民主党は予算案の可決によって、同党が国会をコントロールしていることを示そうとしている。
野党は尹大統領を退陣に追い込むことで大統領選を早期に実施したい考え。これに対し、与党「国民の力」は、韓悳洙首相が国政のかじ取りを担うことで、厳しい結果が予想される選挙を先延ばしにしようとしている。
「秩序ある退陣」
朝鮮日報が情報源を明示せずに伝えたところによれば、与党は尹大統領の「秩序ある退陣」に関するロードマップを10日発表する。早期退陣の時期と方法が含まれる見込みだが、党内では退陣時期に関して「1カ月以内」や「2026年6月の地方選挙まで」などさまざまな意見が出ているという。
7日に行われた尹大統領の弾劾訴追案の採決では、与党議員の大半が退席したため不成立となった。同紙が匿名の党関係者からの情報として伝えたところによると、同党は14日に行われる見込みの2回目の弾劾訴追案の採決では、弾劾「反対」の姿勢を維持しながらも投票には参加することを決めた。
聯合ニュースは、尹大統領による「非常戒厳」宣布について捜査している警察国家捜査本部特別捜査団が10日、警察庁長官や国会警備隊長の出国禁止措置を取ったと報じた。
10日の韓国株式相場は反発し、韓国総合株価指数(KOSPI)は一時2.4%高となった。前日までの下げで弱気相場入り寸前となっていた。小型株中心のコスダック指数は一時5%上昇。両指数を構成する企業の時価総額は9日までの4営業日で1000億ドル(15兆1400億円)減少していた。