将棋棋士同士の漫才コンビが吉本NSCの授業を体験 ネタ作りにまい進
漫才コンビを組み、将棋界からM―1グランプリ出場を目指す谷合廣紀四段と山本博志五段が27日、吉本興業の養成所・NSCの授業を体験。お笑いコンビ「NON STYLE」の石田明の教えを胸に刻んで、ネタ作りにまい進している。 「おはようございます!よろしくお願いします!」。石田が教室に入ってくると、谷合と山本は他の生徒と同じように起立し、対局の開始時とは比べものにならないくらい大きな声であいさつをした。 東大大学院情報理工学系研究科修士課程修了で寡黙な谷合と、江東区の下町育ちで明るい山本は、漫才未経験ながらこの春、「銀沙飛燕(ぎんさひえん)」を結成。初めてのネタ作りに苦戦していた。 今回の石田の授業は、まさに「ネタ作り」の初めの一歩となるアイデア出しを教えるもの。谷合はタブレットに、山本はメモ帳にメモをしながら真剣にホワイトボードを見つめた。 授業はただの講義形式ではなく、生徒たちと会話をしながら進めていくスタイル。生徒からの案を募集する時間には山本も積極的に手を挙げ、石田の指名に答えた。「あてられて、声が震えてしまいました」と山本。谷合は「手を挙げてさすがだなと思いました」と相方として心強さを感じた模様だった。 授業後には個別に石田にあいさつに行った2人。あいさつだけの予定がここでは谷合が「将棋を題材にしたネタをやりたいのですが、どこまで伝わるか…」としっかり質問。石田からは「お客さんにもそれぞれの常識のラインがあるけど、ほぼ将棋を知らないものとした方がいいと思う」とアドバイスをもらった。 また、山本は「石田さんは棋士でいうとA級。教えるときもすごく細分化して教えてくださって、わかりやすい。自分も指導対局などで将棋を教える時にそういう風にしたいなと思いました」と棋士としても勉強になった様子。6月1日からは2025年度の生徒を募集しているNSC。山本は「満足感がすごいよね」と充実の表情を見せた。 谷合は「これまではネタを将棋というテーマにすることで結構制約を受けるのかなと思っていたのですが、石田さんの授業を聞いて、いくらでもおもしろいものができる可能性があるということを知れた。とりあえずたくさんネタを書こうと思います」とギアをあげた。 M―1の予選1回戦は夏に始まる。盤外でも二人の戦いは続く。(瀬戸 花音) ◆谷合 廣紀(たにあい・ひろき)1994年1月6日、東京都中央区生まれ。30歳。東大大学院情報理工学系研究科修士課程修了。2011年10月、奨励会三段に昇段。12年4月、東大理科一類に入学。20年4月に四段昇段(プロ入り)し、片上大輔七段以来、史上2人目の東大出身プロ棋士となる。現在、東大大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻博士課程に在籍。特技はピアノ。 ◆山本 博志(やまもと・ひろし)1996年8月13日、東京都江東区生まれ。27歳。都立白鴎高校卒。2015年、奨励会三段に昇段。18年10月、四段昇段(プロ入り)。19年、第28期銀河戦で予選を2連勝で突破し、本戦ブロックも7連勝の最多勝で突破。23年4月、五段昇段。24年1月より週刊少年マガジンで連載中の将棋漫画「盤上のオリオン」の将棋監修を担当。三間飛車党。
報知新聞社