野村克也が語る「本塁打王」
「狙ってホームランを打つ」本塁打王・山川は天才
狙って本塁打を打てる山川は天才だ/写真=大泉謙也
ちょうどこの原稿の内容を考えていたころ、西武の山川穂高が死球による1試合欠場から復帰、その試合で1安打(二塁打)、3打点、2四球と活躍したと新聞で読んだ。昨季47本塁打で、パ・リーグのホームラン王。今季、オープン戦での数字はどうなのかと見ると、3月15日現在、5試合に出場し、2本塁打だった。 山川とは昨年、テレビ番組の企画で少し話をしたことがある。私は一番気になっていた点について尋ねた。 「いつもホームラン、狙っているの?」 すると山川は、こう答えた。 「状況次第ですが、追い込まれるまでは、基本的にバックスクリーンを狙っています」 私は、うなった。通算ホームランを657本打った私でさえ、バックスクリーンを狙ったことは一度もない。なぜなら、私は「ヒットの延長がホームラン」だと考えているからだ。私がそう言うと、「僕は、ホームランの打ち損じがヒットと思ってやっていました」と山川。まさに、天才だ。 山川と同じ言葉を南海時代、門田博光から聞いた。彼も「常に場外ホームランを狙っている」「場外ホームランの打ち損じがホームランで、ホームランの打ち損じがヒット」と言っていた。 以前も書いたと思う。 「ブンブン、バットを振り回すのはよせ。王(王貞治=当時巨人、現ソフトバンク会長)だって、ホームランを狙って打ってなんかいないぞ」と門田に言っても・・・
本文:1,943文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール