「いなりずし4000個」 日本惣菜協会、盛り付け工程の全自動化に成功 世界初
食品関連企業が加盟する日本惣菜協会は21日、スーパーやコンビニで販売される惣菜の製造現場で、最も人出のかかる盛り付け工程を全自動化するロボットシステムを世界で初めて開発、実装したと発表した。1時間あたり最大4000個のいなりずしを盛り付ける高速システムや、柔らかい食材を適度な力で持つ触覚ハンドなどの現場実装に成功した。 【写真】触覚ハンドで惣菜盛り付け 同協会は2023年9月から、惣菜盛り付け全工程のロボット化を目指すプロジェクトをスタート。経済産業省の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」、農林水産省の「生産工程高度化推進委託事業」の一環として取りまとめてきた。プロジェクトには、小売り・惣菜製造企業9社と、ベンダー・協力企業15社が参画。 約半年間の取り組みにより、容器供給や惣菜盛り付け、弁当盛り付け、品位検査、シーラー、容器蓋閉め、容器移載、重番移載までの全工程をロボット化し、現場実装を実現した。導入現場では、製造ラインの従事者を7人から3人にまで省人化し、高速盛り付けによる生産性の向上などに成功した。今後は中小規模の製造企業でも採算に見合った導入ができるよう、ロボットの精度を必要な分に抑えるなどでコスト削減を図る考えだ。 惣菜・弁当製造では、作業者の半数が盛り付け工程に従事。高い重量精度や品位ある盛り付けが求められるため、現行技術では採算に合う機械化が困難だったという。 人材不足が深刻な製造業の中でも、特に人手を必要としているのが食料品製造業。直雇用でパート従業員を確保することは難しく人材派遣に頼らざるを得ないが、人口減少が進み、人手確保は喫緊の課題となっている。こうした課題の解決にもつながるものとして期待されている。
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