【公認心理師が徹底的に解説】つらい過去は「1点をボーッと見る」だけで克服できる!
トラウマ(心の傷)を簡単に、かつ驚くほどすみやかに克服できる画期的な方法があるとしたら、試してみたいと思いませんか? 「ブレインスポッティング(BSP)」は、ある特定の一点(スポット)を、何分間かボーッと見続けだけでトラウマの苦痛を解消できる、画期的なメンタル・ケアの手法です。なぜ「見る」だけでトラウマから解放されるのか、その秘密を著者の『一点をボーッと見るだけ! 脳からトラウマを消す技術』(講談社刊)から抜粋してお届けします。 【画像】死刑囚が「アイマスク」をするヤバすぎる理由 前編記事『被害者はなぜ苦しみ続けるのか? プロのカウンセラーが説き明かす「トラウマのメカニズム」』より続く。
過去の記憶を整理するのがトラウマ克服への第一歩
皆さんは、この漫画のような体験をしたことはないでしょうか? 私たちは、「蛇のなかには毒を持つものがいるので、危険だ」という情報を記憶しています。その記憶が刺激され、次にとる行動を判断するために参照されます。だからヒヤッとし、静止してしまうわけです。 でも、普通は動揺をおさえて冷静さを取り戻し、あらためてしっかり確認することで、蛇だと思ったものが実はホースの切れ端に過ぎないという状況判断ができます。すると私たちは「蛇は記憶のなかにあるものであって、現在の脅威ではない」と納得し、元の生活に戻ることができます。実はトラウマを克服するときには、この現象とよく似たことが起こるのです。 つまり、トラウマ記憶が他の記憶と同じように「過去のこと」として整理され、「いま・ここ」と混同されなければいいわけです。それが「トラウマを克服した状態」です。 記憶を整理するためには、一度じっくりと、記憶に向き合わなければなりません。記憶に向き合うことができれば、あとは脳が勝手に整理をしてくれます。脳を含む私たちの身体には内部環境(体温、血液の量や流れ方、など)を一定に保つ力が備わっています。不具合が起きても、元に戻るようにできているのです。この「元に戻る力」が十分に発揮されれば、脳はトラウマ記憶を整理できます。