佐藤錦高値、例年の5割増し 南部町営市場(青森県) 実割れ被害で品薄
青森県内のサクランボ主産地・南部町で、出荷のピークを迎えている主力品種・佐藤錦が例年にない高値となっている。天候不順により実が割れる「裂果」被害に伴う不作で、極端な品薄になっているのが要因。町営地方卸売市場では、佐藤錦の入荷量が昨年の半分に激減し、平均取引価格は5割増しに跳ね上がっている。市場関係者は「佐藤錦の出荷は今月いっぱいまでだが、今後も高値が続くだろう」としている。 同町内などのサクランボ園では、6月上旬の低温と濃霧の影響で特に佐藤錦の裂果被害が相次いだ。園地ごとに被害のばらつきはあるが、実の1~3割、多い園地では5割以上に及んだ。 同市場によると、今月上旬に始まった佐藤錦の入荷量は約3トンで、昨年同時期の約6トンに比べて半減している。取引は高値で推移し、過去5年間の1キロ当たり平均取引価格は約2千円(税抜き)だが、今年は約3千円(同)と1.5倍に上昇している。 同市場には21日も佐藤錦約650箱が上場されたが平均取引価格は約3500円(同)、最高値は今年最高の7千円(同)を付けた。同町の仲買人・山田健二さん(74)は「圧倒的に品薄。毎年たまに価格が高い時もあるが、今年みたいに平均して高いのはここ何年かない。贈答用に買ってくれる常連のお客さんに負担をかけてしまい心苦しい」と話す。 佐藤錦の不作は、町内の直売所にも影響が出ている。21日から今シーズンの営業を開始した「名川チェリーセンター」では終日、品薄状態に。同センターによると、入荷量は例年の半分以下で、価格は3割ほど高めという。初日は午前8時半の開店前に多くの客が詰めかけ、あっという間に売り切れた。その後も会員農家が入荷するたびにすぐに売り切れ、テーブルの上には品物がほとんどない状態が終日続いた。 同センターを訪れた八戸市の会社員幅野雅久さん(55)は「贈答用に発送する佐藤錦を求めて町内の直売所をあちこち回ったがなかなか見つからなかった。やっと1箱買うことができたが、いつもより2千円ぐらい高かった」と話した。