【特集|能登半島地震から間もなく1年】“津波”と“液状化”の爪痕、なおつづく被災地の復興への課題【新潟】
能登半島地震から始まった2024年、県内は津波と液状化現象に直面し、被災地では今も日常を取り戻せていない人たちがいます。 【動画】【特集|能登半島地震から間もなく1年】“津波”と“液状化”の爪痕、なおつづく被災地の復興への課題【新潟】 2024年の元日に発生した能登半島地震。県内では、長岡市で最大震度6弱を観測しました。そして、県内で31年ぶりに発表された「津波警報」。地震発生から、約30分後・・・上越市には津波が到達し、川をさかのぼりました。 ■津波を目撃した人 「パッと橋のほうを見たら、欄干を覆いかぶさるように道のほうに波が来たという感じ。びっくりして、やばいきたなと思って逃げましたけどね。」 ■大角怜司アナウンサー 「津波は、この川を遡上してきました。私の身長178cmあるが、この身長をはるかに超えるこの堤防を越えて、津波は住宅地を襲ったということです。」 ■津波被害を受けた人 「親戚の家泊めてもらって、朝来たらこの調子、涙も出ない。板張りはがさないと住めないと言われた。あれもだめ、これもだめ、大変だ・・誰か助けてだね。」 一方、佐渡市の羽茂漁港でも3.8mの津波を観測。高台に避難した男性が、その様子を撮影していました。 ■津波を撮影した人 「最初は波が渦巻始めて、バサーってくるよりもジワーっと上がって来て溢れるという感じで、普通の波と違って怖かったですね。近いんで危機感があった。」 課題として浮き彫りになったのは『住民避難』です。車を使う人も多く、高台に向かう道路などでは渋滞が発生しました。 「訓練、訓練、大津波警報が発表されました。海岸付近の方は高台に避難してください。」 津波の被害を受けた上越市港町では、高齢者や介護が必要な人たちの命を守るため新たな避難のあり方を検討しています。港町では新潟沖の地震で津波が発生した場合、15分ほどで第一波が到達すると想定。原則徒歩に加え、車での避難を取り入れて効果を検証しています。 ■港町の住民 「14分かかった。サイレン鳴ってから、すぐでてきたんだけど。なかなか難しいね、間に合わんね。」 ■港町の住民 「今日は10分かかった。足の悪い人が一緒に歩いてきたからゆっくり。」 「ちょっと休ませてあげないと…(ふーふー)がんばろう、がんばれ、がんばれ。」 「やっとだよ、疲れたよ、もし本当に起きたらどうなんのかな。」 教訓を次に生かすため、継続した取り組みが求められます。 能登半島地震で起きたもう1つのこと、地面から泥水が噴き出す『液状化現象』です。 音を立てながら湧き出す大量の泥水が、住宅地に広がりました。 ■車の所有者 「駐車場が陥没し始めてきて、どんどん沈み始めてきて、水が上がってきた。このままいくと、車の水没も覚悟しなきゃと思いましたね、一瞬。」 新潟市西区を中心に被害が拡大。住宅被害は、1万7000棟を超えました。 ■車の所有者 「壁が完全に割れて、外が丸見えですもんね。」 液状化によって傾いた家での生活・・・ ■自宅が液状化被害 「廊下は歩いて、ここに来ると分かるんだけど、こう傾いているんですよ。ほら、場所によって違うんですよね。(傾きで)気持ち悪いんですよ、これがずっと続くとどうなりますかね、ほんとね。」 地震の2日後、地下から湧き出していたのは粒の細かい砂と水です。『液状化現象』は、地下水を多く含む砂の地盤で起こりやすいとされています。緩くかみ合った砂の粒が地震の揺れで不安定になり、住宅の沈下や水道管の被害などを引き起こします。 今回、被害が集中した地域は、こうした条件を満たした地盤が多いことがわかっています。さらに、60年前の新潟地震でも液状化の被害を受けていた場所が多く、対策をしなければ『液状化は繰り返す』という課題が浮き彫りになりました。 11月、新潟市西区の寺尾地区で被災した立松さん夫妻は、自宅の片付けに追われていました。 ■自宅が液状化被害 妻・有美さん 「ひな人形以外はリサイクルショップに…。どうしたらいんだろう、お婆ちゃんの…。」 ■自宅が液状化被害 夫・立松修さん 「とにかくさ、(捨てるのを)思い切ってくれ、どうせ入らないよ新しい家に。」 自宅は大きく傾き『大規模半壊』の判定を受けました。地震の翌日から、市内に住む弟の家に身を寄せています。 地震から間もなく1年・・・自宅を公費で解体し、同じ場所で新しく家を建てることを決めました。 ■自宅が液状化被害 夫・立松修さん 「長年ここに住んでいたので、愛着がある。残っている近所の皆さんから『居てくれるよね?』と言われる。我々も長年のご近所さんと一緒に居たい。」 ■自宅が液状化被害 妻・有美さん 「ここに家を建てるのは、ものすごく心配です。なぜなら、液状化したところだから地域として液状化対策をどうしていくのかの計画を、分かる・見えるように示してもらうと(生活再建への道筋を)考えやすい。」 新潟市は今週初め、地域一体の液状化対策を進めるためのボーリング調査を始めました。西区の鳥原のほか、善久や寺尾・江南区の天野など27カ所で実施。2025年夏ごろをめどに、液状化対策ができる地域や工法などを住民に示すとしています。 対策工事の開始はいつになるのかー 先が見通せない中、被災者へのこまやかな対応が求められます。 県内被災地の現状を伝える特別番組「能登半島地震1年新潟の現在地」を12月28日午前9時30分からUXで放送します。