『君が心をくれたから』最終回で鍵を握る人物は? 雨と太陽の“最高の奇跡”を願って
あまりに辛すぎる展開が続く『君が心をくれたから』(フジテレビ系)。いよいよ最終回放送の目前ではあるが、現時点では誰一人浮かばれない状態となってしまっている。ここまで“過酷”な月9がかつてあっただろうか。容赦ない現実が雨(永野芽郁)と太陽(山田裕貴)に突きつけられるが、それでも2人にはなんとか幸せになってほしいと願わずにはいられない。今回は、そんな雨と太陽を取り巻く状況を振り返りつつ、どうすれば2人が報われるのかを考察していきたい。 【写真】『君が心をくれたから』山田裕貴インタビューカット 美しい長崎の風景と甘く輝く高校時代の思い出。キラキラとした世界の中で紡がれる恋物語の輝きと対照的に、次々と2人を襲うのは絶望の嵐だ。ずっと雨を支えてきた祖母・雪乃(余貴美子)は癌でこの世を去り、案内人の千秋(松本若菜)は息子の太陽の花火を上げることと引き換えに自らが消えるという選択をした。それにもかかわらず雨は太陽の花火を観ることさえできなかったのだ。愛し合う人々がどれだけ相手を強く思っていても、すれ違っていく姿に胸が痛む。 雨はすでに味覚、嗅覚、触覚、視覚を失っている。恐らく、このあと聴覚も失うことになるのだろう。そうなれば、暖かい太陽の声も、雨の心には届かなくなってしまうのだ。 視聴者はこうした酷(むご)い展開に胸を痛めながらも、いつか2人が幸せになれることを信じてこのドラマを観続けてきた。だが最終回を前にした第10話でも、なお幸せが訪れなかったことに動揺を隠せなかったのではないだろうか。思い起こせば私たちには、いつかどこかのタイミングで“救い”が訪れるという期待があった。それだけに、ここまできても苦しい思いを強いられる2人に対し、余計に次こそは絶対に幸せになってほしいと思ってしまう。 いったい、2人が幸せになれる方法はあるのだろうか。やはり最終的にはハッピーエンドになってもらいたいが、今のまま雨の五感が失われていては、私たちのもやもやした気持ちが晴れることはないように思う。そもそも“過酷な奇跡”さえ起こらなければ、雨はこんなことにはならなかったのだ。一方で、太陽が生きているのは“奇跡”のおかげでもある。こうなったからには、再度“奇跡”が起きることでしか、2人の幸せは手に入らないのではないだろうか。 実はこれまでの物語の中で、次の奇跡にかかわりそうな人物として気になるキャラクターがいる。それが、案内人・日下(斎藤工)の元恋人の白石小夜子(真央)と、雨の母親の霞美(真飛聖)なのだ。この物語の中でもう少し詳細が語られても良さそうな小夜子と、雨がパティシエの夢を持つきっかけでもある霞美。このあと2人が何らかのかたちで雨と太陽が幸せになれる未来へと導いてくれたらと期待してしまう。特に他界している小夜子は、雨と太陽にかかわる第三の案内人として2人を救えるポテンシャルがある。案内人となった小夜子が霞美の元に現れることで“雨が五感を取り戻しパティシエになる奇跡”を起こす、そんな未来はないだろうか。最後まで雨と太陽の幸せを諦めたくない今、小夜子と霞美の存在にはぜひとも注目しておきたいところだ。 太陽の花火を観ることも叶わず、太陽の優しい笑顔に触れることさえできない。そんな状況に立たされた雨だが、私たちは、雨がまた太陽の笑顔と優しい声を再び噛み締める日が来ることを願っている。『君が心をくれたから』が最後に見せる“最高の奇跡”を諦めることなく信じたい。
Nana Numoto