「“インディロックの歩み”に重要なバンドだった」 ヴァンパイア・ウィークエンドの凄さとは?
これは聴くべき! ヴァンパイア・ウィークエンドの3曲
続いて、妹沢さんもヴァンパイア・ウィークエンドの必聴曲を紹介。まずは、デビューアルバム『Vampire Weekend』収録の『Oxford Comma』をセレクトした。 妹沢:ヴァンパイア・ウィークエンドの結成はコロンビア大学という超有名大学なんですけど、リリース当時は卒業していて、メンバーはそれぞれ別々の仕事に就いていたんですね。エズラは中学校の英語の先生、日本で言うと国語の先生をしていました。英語では「A, B, C, and D」みたいな感じで書くときに、Cとandの間にコンマを入れるんですね。それを「オックスフォードコンマ」って言うみたいなんです。 あっこゴリラ:へえ。 妹沢:そういうあまり人が気付かないところをテーマに曲を書いたり、ちょっとひねった知性が光っていた当時の彼らを象徴するような曲だと思います。 続いて、妹沢さんはセカンドアルバム『Contra』の先行シングル『Cousins』を紹介した。 妹沢:この曲は短いフレーズを繰り返す曲なんですけど、最後のサビに行くところの多幸感がすごいんですよね。多幸感とパンクな知性がセカンドアルバムまでヴァンパイア・ウィークエンドにはありましたし、エズラは舌足らずな発音なので、最初のサビに行くところでズキュンとやられてしまいます。 3曲目に妹沢さんはサードアルバム『Modern Vampires of the City』から『Step』を紹介した。 妹沢:サードアルバム『Modern Vampires of the City』は実はちょっと暗いんですよね。最初の2枚のアルバムのポップな感じから、人生の深さとか宗教的な感じとかそういうところに行った曲です。バンドではとても珍しく、ミドルからスローなテンポで、当時エズラの頭の中にあったのが、年齢を重ねることだったんです。そのあたりを丁寧にいい歌詞で歌っている曲です。 あっこゴリラ:聴きどころは? 妹沢:ギターロックは年を重ねても新鮮で美しいものが作れるということを、この曲を聴いて感じました。あと、「親知らずが抜ける」というような象徴的な言葉で年齢を重ねることを歌っているので、ぜひ時間がある方は歌詞も調べながら聴いてほしいですね。