映画を「面白い」としか言えない人は何が足りないのか…そのとき意見を言える人が"頭の中でやっていること"
■モヤモヤしたままでは相手だけでなく自分に対する理解も出来ない ここまで掘り下げられると、 「なんでも聞いてと言っていた先輩に、質問をすると、それぐらい自分で考えてと返されてモヤモヤした」というだけではなく、 私は、状況によって態度を変える人が苦手です。 自分自身が、相手の状況を理解して、臨機応変に対応する力が弱いと感じているからです。 と、「意見」が言えるようになります。 なぜ、そう感じるのか、なぜ、それが嫌なのかを言葉にできるようになると、「じゃあどうするか」が見えてきます。 「違和感がある」「モヤモヤする」で終わらせていたら、自分に対しても、相手や周りの状況に対しても、深い理解はできません。 言葉にすることで、見えてくるのです。 ■「要するに」より、「何が一番」 先ほども触れたように、言語化のポイントは、大きな1つの袋に入れているものの中身を全部出して、それを言葉にしていくことです。 全部出した後、やりがちなのが、「要するに」とまとめようとすること。 「違和感」という大きな袋に入っているものを全部書き出して、並べた後に、「じゃあ、要するに何だろう」と考えると、また「違和感がある」「モヤモヤする」に戻ってしまいます。 「要するに」と抽象化するのは、難しいもの。 それよりも、「何が一番」と、書き出した具体の中から1つを選んでください。 その1つが、すべてではないですが、漠然としたことを言うよりも、1つの具体的なことを言った方が伝わります。
■「相手の気持ちを考える」ということ ---------- 観察③ 頭の上の「吹き出し」を想像する ---------- 本やビジネスのシーンでは、よく「相手の気持ちを考えよう」「相手が言ってほしいことを伝えよう」と言われます。 相手の気持ちを考える、とは具体的に何をどうすることでしょうか。 人は、自分以外の誰かの気持ちを100%理解することなどできません。 わからないけど、わかろうとすることが、相手を理解するということだと言えます。 具体的には、相手の頭の上に浮かんでいる吹き出しを想像することだ、と私は定義しています。マンガによくある、頭から浮かんでいる吹き出しです。 たとえば、同僚に、チームの誰かがやることになっている仕事をお願いしたとしましょう。 その人は口では「いいよ、私がやっておくね」と言っているけれど、なんだか顔が曇っています。声のトーンも低いです。表情や声の感じを見ると、どうも納得していなさそうに見えています。 そのときに、相手の頭の上に、どんな吹き出しが浮かんでいるかを考えてみます。 ・もしかしたら「何で自分ばっかり」と思っているのかな ・「自分でやってよ、と言いたいけど、言えないなぁ」と思っているのではないか このように、吹き出しの中を想像していきます。 これが、「相手の気持ちを考える」ということです。 ■相手にとっての「正しい理由」を想像してみる 相手が言うこと、言葉にしたことだけに目を向けず、相手の言葉にできていない思いを、表情や声のトーンや態度や仕草などから想像してみましょう。 これは、目の前にいる相手だけでなく、周りのすべての人に対してできることです。 目に見えている情報だけでなく、次のような見えていない情報(相手が言葉にできていないこと)を想像してみてください。 ・なんのために、今その行動をしたのか ・それをしている(その人にとっての)理由は何か ・その行動で何を得たかったのか ・その行動(や表情や態度)で、何を伝えたいのか ・その人は、今、何を感じ、何を思っているのか もちろん、想像なので、考えてみたところで、相手の気持ちがすべてわかるわけではありません。 でも、相手の言葉や行動だけで判断せず、相手をわかろうとすること、相手の意図や思いを知りたいと思うことが、大事なのです。 そのときに大切なのは、「この人はこう考えているに違いない」と勝手に決めつけないこと。 あくまでも観察をベースに、自分の主観をできるだけ外して、相手の背景を想像します。 「この年代の人はこう」「この部署の人はこういうタイプ」など、カテゴリに当てはめて人を見ると、観察をする目が曇ってしまいます。 ---------- さわらぎ 寛子(さわらぎ・ひろこ) コピーライター/コトバワークス株式会社代表取締役 1978年京都府生まれ。関西大学社会学部卒。関西大学非常勤講師。現役コピーライターで、企業の広告制作のほか、企業研修も多く手がける。24年間コピーライターとして食品、美容、ホテル、学校、病院、製薬会社、電鉄など様々な業種の広告制作を手掛ける。書いたコピーは3万件以上。2010年「2時間でキャッチコピーが作れる」メソッドを独自で開発。現在は、オンラインとリアルな会場で長期講座を開催。自分メディアを使って集客したい、売上を上げたいと願う経営者や起業家から高い評価を得ている。著書に、『キャッチコピーの教科書』(すばる舎)、『今すぐ自分を売り出す1行を作れ』(大和書房)など。 ----------
コピーライター/コトバワークス株式会社代表取締役 さわらぎ 寛子