2024米大統領選の最前線 トランプ氏が初戦勝利 一方バイデン氏には不安材料も【WBS】
アメリカ大統領選挙についてお伝えします。日本時間16日、中西部アイオワ州で行われた野党・共和党の党員集会で、トランプ前大統領が過半数の票を集め、候補者指名争いの初戦に勝利しました。 大江麻理子キャスター:アイオワ州にいる中村寛人記者に聞いてみましょう。共和党の候補者選びについて、今後の展開はどうなりそうですか? 中村寛人記者:トランプ氏の前評判通りの圧倒的な勝ち方について、アメリカメディアは『最も驚かない勝利だが今後の流れを決定づけた』と伝えています。トランプ氏は共和党の候補者指名争いで主導権を握った形です。 記録的な寒波に見舞われ、投票率の低下による影響も懸念されましたが、前大統領としての圧倒的知名度と、返り咲きを期待する熱狂的な支持基盤は健在でした。2位にはトランプ氏に政策が近く、支持層も重なる南部フロリダ州のデサンティス知事が入り、反トランプを鮮明にし、勢いづいていたヘイリー元国連大使は僅差で3位となりました。 トランプ氏は焦点だった過半数の票を獲得したこともあり、初戦での圧勝をてこに、党内での影響力や有権者の支持をさらに拡大する展開が考えられます。 大江キャスター:そうなりますと、共和党の候補者指名争いが早い段階で決着がつく可能性もあるのでしょうか? 中村記者:はい。トランプ氏が大差で勝利し、このまま指名獲得に必要な代議員の数を確保し続けますと、3月中にも大統領候補への指名を確実にする可能性もあります。トランプ氏は4つの刑事事件で起訴されていますが今後、裁判が本格化し、選挙運動に悪影響を与えるのを避けるためにも、指名争いの早期決着を狙うものとみられます。
バイデン氏に浮上する不安材料
一方の民主党側は現職の大統領であるバイデン氏の指名がほぼ確実視されており、11月の本選挙におけるバイデン氏とトランプ氏の再戦ムードが高まっています。こうした中、バイデン氏に今、大きな不安材料が浮上しています。 アメリカの首都ワシントン。1月13日に開かれていたのが、ガザ停戦を求める集会です。参加者は40万人以上。イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘を巡って、イスラエル寄りの姿勢を貫くバイデン政権を厳しく批判しました。参加者は「罪なき市民を殺すため、私たちの金が使われる。こんなことを許せるのか」と話します。 ワシントンからおよそ1500キロ離れた中西部ミネソタ州から来たハッサン・サラムさん。与党民主党の支持者だといいますが「われわれは大統領選挙でバイデン氏に投票しないことを決めた」と訴えます。 サラムさんは、アメリカ国内におよそ345万人いるとされるイスラム教徒。前回の大統領選では、その多くがバイデン氏を支持しました。しかし今回は「戦闘開始以来99日間の惨状をみて、これまでにない行動をとることにした。バイデン氏は私たちを見放した。私たちもバイデン氏を見放す」(サラムさん)といいます。 支持率の低迷が続くバイデン氏。1月8日に南部サウスカロライナ州で開いた集会では「今すぐ停戦を!」とイスラエル軍によるガザ侵攻に反対する聴衆が抗議の声を上げ、演説が一時中断しました。イスラエルへの対応を巡っては、これまでバイデン氏を支えてきた若年層の支持も離れているとされています。 再選を果たせば、次の任期が始まる来年1月を82歳で迎えるバイデン氏。年齢を不安視する声も根強い中、新たな悩みの種が増えつつあります。 ※ワールドビジネスサテライト